泣きわめくほど悲しくなる前に

こうやって人に話せたらよかったんだよな

 

暗くなった夕暮れの道、

坂道を下りながら

ひとりごとのように息子が言う。

 

これくらいの暗さが

今の私たちにとってちょうどいい。

 

朝から終日出かける用事があったおかげで、

前日夜に火種となったトラブルから少し時間と距離を置くことができ、

再び顔を合わせた夕暮れ時には

私たち親子は

日常の会話からスタートすることができた。

 

 

親子で同じようなところで

誰にも言えずに抱え込み

同じようなところで

葛藤し

爆発する。

 

 

全然ちがう話だけどね、

(だいぶちがう話なんだけどね…)

似たようなきもちを私も味わったことがあって、

なんかわかる。

 

私がそう言うと、

 

 

ここまで自分のきもちを話せて、

それをわかるって言う人がいるなら

もう十分だって思ったよ。

 

 

息子からのその応答を聴き、

 

息子のハートのやわらかい部分に触れたのか、

それとも

私のハートのやわらかい部分に触れられたのか、

どっちかわからないけど

先に涙がおっこちた。

 

あーあ。

 

泣いてしまった自分に対して

そう思ったけど、

それも私なわけで。

 

私、

◯◯◯のお母さんになれてしあわせだよ

ありがとう。

 

しぼり出してそう言うと、

 

おぅ

 

みたいな横顔をして

 

うん

 

 

玄関が近づくと、

 

先どうぞ

 

とドアを開けてくれた。