「あたまがちょっといたい」


ほとんど開いてない目のまま起きてきた娘、

朝の第一声がそれだった。


「熱、あるかな?計ってみよっか」


そう言って娘に体温計を渡し、

私は出勤準備をしながら、

最悪の場合の予定変更について頭の中がグルグルと回りだす。


「サンロクサン(36.3)


ホッとした。


「でも、あたまはいたい。」


今日は高学年である兄の音楽発表会。

二学期になってから6年生と一緒に練習してきていた。

私はその発表を聴いてから仕事に行くつもりだった。


着替えたものの、

朝ごはんも食べずにソファに横になる娘。

こっちを黙って見ている。

具合悪いんだな。

友達が迎えにくる時間がまもなくやってくる。


「病院行ってから、遅刻していこっか。

お手紙書くから、◯◯ちゃん来たら持って行ってもらおう。」


ピンポーン。

走り書きのメモを娘の友達に託した。



娘のところに戻ると、

目のまわりに涙がたまっている。


「あたま、さっきよりいたいの?」


首を振る。

そして細く小さな声で

振り絞るように娘は言った。



……聴きたかったの」


ギューン。



で、

ぎゅー。


「そっか、聴きたかったよね。

楽しみにしてたよね。

ママ、動画撮ってくるから。

全部動画撮ってくるから。」 


そして私は発表会に向かった。


音楽発表会が終わってすぐ、

私は家に直帰し

ソファに向かった。


寝ていた。





その寝顔は、

何年も前のこの寝顔にとてもよく似ていて、

私は笑ってしまった。


今、私に必要なのは


睡眠です

以上。


という寝顔。


体の違和感を無視しない。

自分の身体の異変に気づいたら、

即対処する。


体調を崩しかけたら、

いつだって

その違和感にいち早く気づいて

対処する娘。


尊敬する。

教わる。


長く生きてる方が教える、

という思い込みのひとつを

あっさり覆してくれた出来事。