星降る夜の浜辺でのひとりごと -3ページ目

星降る夜の浜辺でのひとりごと

うつ病患者かわ本音をそのまま詩にぶつけて叫びます。
幻想的なノスタルジジアを求めた詩を書くことも・・。

故郷での休暇は夢を見ているように過ぎた
めったにない貴重な時間を
1秒1秒を噛みしめるようにした
それでもなぜか実感が無いまま過ぎていった
どのように噛みしめたらよいのかわからないまま
ただ普通に過ぎていった
一緒に買い物をする
一緒にテレビを見る
一緒に旅行に出かける
与えられた時間をそのまま使った
そうすることしかできなかった
それ以上どうしたらいいのか
わからないままだった
そうしているうちに時は進んでいった
まるで夢を見ているように
実感が無いまま
そして別れの時は来た
強いさびしさが体を貫く
だけど言葉に出さず表情にも出さず
駅のホームに立つ
どうにもならない気持ちをもて余す
つらくてさびしくて
もう嫌だけどどうしようもなくて
何も考えられないまま
電車に乗り込んだ
そして電車は少しずつ故郷の駅を離れていった
やりきれない気持ちを乗せたまま
故郷は遠くへ離れていった
冷え切った外の空気は吸う気になれず
夜に独りで部屋に寝転がる
とてつもないさびしさが襲ってきて
思わず居間に降りて行き
無関心な家族の顔を見て
また部屋に上がって来た
それでも不安は収まらず
2錠目の薬に頼る
これは異常じゃないだろうか
そう思いながらも耐えている日々
逃げ道があるのが救いだが
簡単な道ではなくて
何度も何度も思いとどまってきた
今も悩んでいる
苦しみに耐えながら悩んでいる
こんなに長く苦しんだことはない
まだ先は見えないようだ
人生とはこれほどまでに過酷なのか
そんなはずはない
そんなはずはなかった
明けない夜はないという
使い古されたセリフに
希望の祈りをささげたい
風雪に荒れ狂う極寒の昼間
それが嘘だったかのように
澄み切った夜空が広がり
絵に描いたような
月と星が輝く
風一つ無い夜に
小さな娘と外に出た
積もった雪は凍りつき
歩く度にザクザクと音が響く
やがて自動販売機の灯りが見えた
好きなものをそれぞれ選び
お金を入れて
ガチャンと飲み物が出てくる
飲み物を取り出し
来た道を引き返す
またザクザクと音が響く
実家に着くまでのたった数分間だけど
俺にとっての至福の時間だった
こんな小さな幸せがかけがえの無いものだと
強く感じた
この小さな幸せの為に苦労してきたのだと
強く感じた
こんな小さな幸せが永遠に続くことを
澄んだ寒空に強く願った
中学の時に書いたノート
色あせていないから
最近書いたようにも見える
だけど実際は
何十年も経っている
信じられない
そんなに昔だとは
信じたくもない
あまりに早い月日の流れに
実感がない
あっという間だった
ただ日々に追われて過ごしてきた
あっけなく儚い思い出
あの頃の自分はまだノートの中にいる
だけどシャーペンの文字が生々しくて
あの頃の自分がどこかにいるように思えた
やっとの思いで帰って来た故郷
外は冷え込み冷たい雨が降る深夜
独り眠れず布団の上に座り込む
待ちに待った休暇で
ついにその時を迎えたわけだが
俺は昼も夜も時の過ぎゆくままに時を見守る
二度と無い時間なのはわかっていて
今度故郷に来れるのはいつになるかわからず
今度も平穏な気持ちで来ることができるのか
そんな保証は無くて
未来はやはり予測不能で
だから確実なのは今しかなくて
だけどどうすべきかわからず
結局時に流される
為す術もなく流される
ただ平穏に心を保つことで精一杯で
そのくらいしかできないが
これじゃだめなのだろうか
ただ平々凡々と時間を使う
そして貴重な時間はこぼれていく
指の間からこぼれていく砂のように
俺はこぼれる砂をただ眺める
何も出来ずにただ眺める
真冬の真夜中に布団の上に座ったまま
何も出来ずにいる
家中が寝静まり
部屋にひとり取り残される
自分も寝てしまおうか
だけどなんだかもったいない
部屋中に孤独感が充満する
何かで気を紛らわそうか
何をしたらいいのかわからない
したいことは特にない
満たされない心が部屋をさまよう
孤独感の闇の中をさまよう
どうすれば満たされるのか
わからないわからない
どこにも答えが載っていない
また眠気が来るのを待つしかないのか
夜の風は冷たく
さらに冷え込んでいくのだろう
部屋の中で孤独を受け止め
部屋の中で時間を流す
耐えきれずに家族の寝顔を見に行く
そんなことを繰り返す
そんなことしかできない
実家を出てとぼとぼと歩いた
寂しさを引きずりながら歩いた
母がいつまでも見送ってくれた
駅への道のりを懐かしみ
子供の頃を思い出しながら
石段を一歩一歩踏みしめて歩いた
駅に着き電車の中の楽しげな人々を
うらやましく思った
車窓から水平線に浮かぶ船を
黙って揺られながら見た
新幹線では疲れて眠ってしまった
気がついたら太平洋側に出ていた
夕陽が弱々しく輝いていた
こっちには大きな不安が待っている
そして小さく弱々しい支えも待っている
たとえ小さく弱々しくても
俺にはかけがえのない支えだ
だから俺はその支えを力にして
歩くしかない
冷たい雨の中
ひとりで電車に乗り込む
連休の車内には家族連れや友達どうし
にぎやかで楽しげな雰囲気に満ちている
うらやましそうに眺める俺
夏休みは俺も子供を連れてにぎやかだった
今はひとりで寂しさを噛みしめる
なんと寂しい帰省だろう
気持ちが弱っているせいかな
こんな寂しさは初めてだ
いつもは楽しみな気持ちでいっぱいなのに
この冬の冷え切った雨にさらされ
心の底まで冷え切ったのかな
揺られながら見つめている
車窓を流れるどんよりした空
心に広がる大きな不安を
空に映し出したようだ
じっと受け入れながら
揺られ続けるしかなかった
もう何年前になるだろうか
家族みんなで実家に帰省
高速を夜通し走り明け方に仮眠
早朝に再び走り高速を降りる
朝早過ぎるため実家近くのファミレスへ
駐車場に車を止めて
みんなで朝からファミレスへ
みんなで頼むモーニングセット
朝からドリンクバーをおかわりする
ささやかだけど
平日には絶対できない非日常
普段はできない朝からのぜいたく
やってる時はなんてことなかったが
やってた時間も小一時間くらいだが
それから二度とできなくなった…
今ではとても素敵な思い出だ
貴重な幸せの1コマだ
出来なくなってわかるものだね
有り難みってものは
いつの日かもう一度
あの日よもう一度
冷たい雨の降りしきる夜
襲い来る恐怖から逃げるように
小さな君を車に乗せてファミレスへ
これから迫り来る恐怖と不安を
ささやかな幸せで塗りつぶそうと思った
もう君のお母さんは眠っていて
姉はおでかけ兄は早めに床についたから
末っ子の君だけを連れて行くことにした
少しだけ寂しいけどひとりで行くよりずっと良い
雨の中、車から二人で店内に駆け込んだ
静か過ぎず、うるさ過ぎず、ほどよくにぎわう
二人で頼んだデザートとドリンクバー
携帯で同じゲームをしたり
たわいのない会話をした
特別なことは何もなく
ただデザートを楽しみ
ドリンクバーをおかわりする
単純だけど貴重な幸せの時間が過ぎて行く
恐怖と不安はここまでは襲って来れず
ファミレスの外で雨の中
仲良く指をくわえてながめていたことだろう
俺のささやかな幸せを…
俺のささやかな抵抗を…
作戦は見事成功した
してやったり!
小さな相棒のおかげだ
弱った心には小さな子供でも大きな力だ
やはり人の力は偉大だ
そんな小さな相棒の力を感じながら
冷たい雨の降りしきるファミレスの中で
ただ幸せの時間が流れていった
ただ幸せを噛みしめる俺がいた