https://www.frontale.co.jp/goto_game/2023/emperors_cup/06.html

 

苦しい時間ばかりだった。

思えば、チケットの入手からして苦しかった。

先行抽選は第三希望まででも外れ、会員限定のゴール裏1層でも確保できず。

ようやくネットがつながったのは、ゴール裏2階席。

それでも、結果的には入手できただけで良かったのだと、それは後程分かった。

それも納得な完売だったし、綺麗に双方のサポーター色が半々な会場だった。

 

さて、試合はというと、改めてチームの現在地を思い知らされた。

個のチカラで相手の壁を突破できず、不用意というかチャレンジする縦パスをカットされショートカウンター。

マルシーニョがいないだけで、こんなにも苦戦するのかと。

これはもう戦術の問題というより、相手の対策を認識したうえで上回れない戦略の問題だと、再認識した。

 

しかし、それ以上に感じさせられたのは、もう自分たちは圧倒できるチームではないのだということ。

どうしても良い時期の残像が、幻となって勘違いを生む。

だから、決勝と言えど、自分たちの戦い方で、面白く勝つことができると勘違いしている自分がいる。

 

もちろん、チームも選手も目指すところは、サポーターと同じく「面白さ・勝利」の両立なのだが、

勘違いしてはいけないのは、前提として圧倒できる個があること。

はっきりしているのは、現時点のチームというか個々人には、そのチカラがないことだ。

強者のシステムである「4-3-3」は、個で勝つCFと、個で打開できる左右のFWが必要だ。

その幻は、期待としてつい追い求めてしまっている。

そんな復権を期待している自分がいたが、この試合で完全に決別することができた。

 

それだけに、今回の優勝は、総合力が最後まで試された試合だった。

リーグもカップ戦も基本は同じ。

一つずつの勝利が、結果につながっていく。

それは、鬼木監督の公式コメントからも読み取れる。以下、引用だ。

 

カップ戦でいろんな選手が出場しながら勝ち上がれたことは本当にすばらしいことだと思います。こういう苦しいシーズンというのもありますが、思い入れは非常にありますね。この決勝の舞台に立てなかった選手たちもいて、正直前日まで誰をメンバーに入れるかはすごく悩みました。また、怪我をしている選手もそうです。例えばアサヒ(佐々木旭)にしても、高知(ラウンド16)の時に決勝ゴールで次へのコマを進めた1人ですし、高井(幸大)もゴールからボールをかき出してコマを進めた選手です。いろんな選手が関わってここまで来ているので、思いはすごく強いです。みんなの力で優勝したというのは、前回よりも非常にうれしい勝利かなと思います。

 

逆にいうと、チーム一丸となって総合力で、ここまでこれる。

そう証明したような試合だっと考えることにした。

一人一人がやるべきことをやり、自分たちから崩れない。

突出した個がなくても、最後には勝ち切ることができる。

7個目の星にして、ようやく次のステージに入ってきた、そんな感覚のする試合だった。

 

だからこそ、なんどとなく試行錯誤したきた痕跡が、監督の言葉からも読み取れるのだろう。

とはいえ、来期は戦術の引き出しを増やす意味で、基本に立ち返る「4-4-2」で勝負して欲しい。

まだまだ、これから。

 

ここからが、本当の意味でのフロンターレ第二章になる。

来期も期待だ。