イスタンブールを出発して24時間。トルコ南西の港町マルマリスが見えてきた。
かつて漁港だったこの街には漁をモチーフにした銅像が各所に見られる。
でも今は欧州白人の保養地。
日本人はもとより、バックパッカーを見ることもない。
他の街と違って海岸沿いに並ぶレストランの客引きも声をかけてくれない。
まるで見えないみたいに。
宿に荷物をおき、水着を持って海にでかけた。
日が傾くまで泳ぎ、まばゆい日没を砂浜に座って眺めた。
琥珀色の空はやがて輝きを失い、
凍てついたブルーをちりばめた灰色へ落ち込んでいった。
暖かな夜。街を歩く。
レストランからはサッカー中継に沸く歓声が聞こえてくる。
僕は黙って歩いていた。
アーケードを抜けてアタテュルク広場に出た。
アタテュルクとは20世紀初めのトルコ革命の指導者であり、
トルコ共和国の初代大統領である。
西洋列強に祖国が浸食されていく状況を打開し、
大統領就任後は政教分離政策を断行。
同国の近代化に道筋をつけた英雄として、国民から尊敬されている。
だから国内各地には彼の名を冠した場所が本当にたくさんあり、
銅像があり、家々には肖像が飾られている。
普通のレストランにも、キャンペーンガールのポスター級扱いで貼られていて、
いまだ彼への尊敬の大きいことと、その政策が成功したことがよく分かる。
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海の側にある広場には、老人がいた。
彼は望遠鏡屋だった。
望遠鏡を売っているのではなく、
覗かせる仕事なのだ。
「見て行くかね、青年。」
僕は小銭を渡し、ファインダーをのぞくと満月が見えた。
「あれはこれから食べられて、欠けていくんだ。
月には男がいる。
罪を犯して地上から追放された男だ。
男は罰として月という
大きなカボチャを食べなければならない。
男は償いのために
毎日毎日、月を食べ続ける。
しかし男は許してもらえない。
食べきったと思っても
またカボチャが大きくなってしまう。
ずっと昔から男は食べ続けている。」
クレーターの影に男の姿がないか探してみたが、
見つけることはできなかった。
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宿に戻る帰り道。
男は一体どんな罪を犯したのだろうと考えていた。
僕だって生きているだけで
たくさんの人を傷つけてきたんだ。
いや、よく言いすぎた。
傷つくようなことを
言ったりやったりしてたのを
自覚せず生きてきて、
そしてたくさんの人を傷つけてきたんだ。
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宿に帰ると同部屋の白人に
「ズボンのチャックが開きっぱなしだ」と指摘された。
「お前って日本人のクセにうかつな奴だなあ、
もしかしてご自慢のジュニアを見せびらかしたかったのかい?
でも、小さすぎて見つけられないかも知れないZEー?
あれーあなた女の子ですか?あ、日本男子でしたか、HAHAHA!!」
こ、こいつ、、、月に送り込んでやりたい、、
僕に荒ぶる神々のごとき人知を超えたフォースがあればッ!
ちくしょう、まずは牛乳に相談だ。



