勉強と仕事の関係で、長い間中国で生活してました。

なので、私のダンス歴、中国での経験がそこそこの割合を占めています。

これは花さんが10年ほど前に体験した個人的中国のド田舎のダンスの記録。

 

これ、書きたかったんですけど書いていいのかずっと迷っていました。

異文化理解において、自分が個人的に体験したことを

「ほら、この地域はこんなんですよ」と一般的なこととして語ってしまうのは厳に慎むべきこと。

特に私がいた地域は中国人でさえ「それは大変なところで暮らしていたね…」というような超ド田舎なので、

そこの特殊事例をもって「中国のダンスって…」と判断されてしまうのは避けたい。

 

ただ、昨今のダンス事情を見てると、中国はいまや堂々たるダンス先進国であり、日本はその後塵を拝しているのは明らか。

また、SNSに流れてくる中国で開催される各種ダンス大会を見てもその会場の煌びやかさと最新のシステムには目を見張るばかり。

なので、私がここでいろいろ書いても「ほら、やっぱり中国は…」という受け止められ方をすることはないかな、と。

 

というわけで、これは一外国人が、一地域で体験した、超個人的ダンス事情の記録ということでお読みください。

 

あと、仕事関係の人にバレると恥ずかしいので、中国のド田舎というのがどこか、具体的な地名は伏せます。

どこまで伏せたまま書けるか、自分でも自信ないけれど。

そのため若干事実をぼかして書いているところもあります。「ん?」と思っても読み飛ばしてください。

 

 

以上、長い前置きでした。

 

 

さて、私が暮らしていた地域。

ド田舎もいいところです。

 

その頃は大学に属して自分の研究を進めつつ、外国人非常勤講師として日本語を教えるということをやっていたのですが

「日本人だから日本語教えられるでしょー」ってノリでした。

この無茶ぶり文化にはずっと振り回され続けたなぁ( ==)トオイメ

大学の教室で授業をしていると野良犬が入り込んできて昼寝を始めるという環境。

中国政府の地域振興政策のおかげでOA機器は結構いいものが揃っていたのですが、そもそも停電が多くて使えないこともしばしば。

大学の外に出て15分歩ほど郊外に向かえば、そこは野良牛がウロウロしていました(大きいので割と怖いガーン)。

 

そんなところですが大学のわりと近くに健身房(ジム)がありまして。

そこでラテンダンスを教えていたのが大学の体育科の講師でもあり、この地域唯一のダンス教師N老師でした。

 

そんなド田舎にジムなんてコジャレたものが?と疑問に思った方もいらっしゃるかもしれませんが、あるんです。

地域振興政策として政府がジャンジャンお金を入れてくれるので、お金持ちは超お金持ちなんです。本当のお金持ちは籍だけおいて、大都市にマンション買ってそっちに住んでしまうのですが。

なので、ジムとかプールとか五つ星ホテルとか、噂によれば闇カジノとか(そこでは札束の厚みで賭けるそうな。本当かどうかは知らない)、富裕層向け施設も結構そろってました。

 

 

そして、そのN老師にもうちょっと本格的に踊りたいんだけど教室はないのか聞いてみたところ、「じゃ、自分が他で教えている子供クラスに混ざってしまえばいいよ」ということで紹介されたのが少年宮

この健身房少年宮が私のダンスの練習場所になりました。

 

このN老師というのが曲者で。

お金大好き。長いものには自ら巻かれに行く。

でもって、超絶怠け者

どのくらい怠け者かというと、「ダンスは疲れるからヨガの先生になろうかなー」とか言っちゃうくらい怠け者。

で、お金大好きだから少年宮でもかなりのクラスをもって、

朝から夕方まで働くわけですが(夜は健身房)、当然体力が持たない。

 

どうなるか。

「花―。アップの順番覚えたでしょ。1時間くらい遅れて行くからやっておいて」となります。

このために私を少年宮に連れて行ったのか!?

多分、そう。

じゃなきゃ、あの金の亡者が無料でクラスに入れてくれるわけがない。

 

子どもたちのほうは慣れてるし、順番だけ指示すれば勝手にやってくれるんですが、私は毎回内心真っ青でした。

(花さんの中国語能力はたかが知れてます。

「首筋を伸ばして」とか「腕は大きなボールを持つように」とか中国語でなんと言うのか。

ダンス友に手伝ってもらって、ダンス用中国語ノートを作りましたえーん。)

 

 

少年宮のクラスは主に4歳から小学4年生くらいまで。

富裕層の子が多く、見事に全員女の子です。

 

富裕層では子供のころからガンガン習い事をさせるのが当然のようで、運動系は男の子はサッカー、女の子はラテンか民族舞踊でした。

昔の中国共産党員は教養として社交ダンスが必須だったらしいですが、今は運動系のおしゃれな習い事の位置づけっぽい。

日本だとバレエも選択肢に入ると思うんだけど、なんせド田舎、先生がいなかったので。

小学校も後半になると今度は中学受験を見据えて塾で忙しくなってしまうので

(彼らの目標はいい成績を取って大都市の中学へ進み、そのまま内地で教育を受けること)、そのくらいで終わり。

あの子たちももう大人になってるだろう。今どうしてるかな。

子供のころにそう言えば変な発音の日本人とダンスを踊ったなとか、覚えてくれてると嬉しいな照れ

 

 

長くなったのでこのあたりで。

ぽろぽろと不定期に書いていく予定です。