簡易（シンプルイズベスト）を駆使したジョブズ

いつも、本ブログを閲覧いただき、ありがとうございます。

コンピュータの理論には「０」と「１」の陰陽理論が基礎となっていることは知られているところですが、最近のiPhone、iPad、iMac、Mac Proなど身近に使うパソコンにも、かなり深いところで易の考え方が入っていることをご紹介したいと思います。

易の考え方の中心にあるのは、変易（すべては変化していく）、簡易（すべてはシンプルにできる）、不易（不変のものがある）の三つです。

どんなに環境や時代が変化しても、一貫して不変のものを見抜き、見出していくことの大切さを「時中（じちゅう）」という言葉で易は表現しています。

その中でも、とくに「簡易」を世界共通のツールにまで広げることに成功したのが米アップルの創業者であるスティーブ・ジョブズです。

スティーブ・ジョブズは、若い頃、インドを放浪し、アップルから一度、解雇された時期、ヒッピー文化の洗礼を受けていました。

当時、強い影響を受けたのが英語が堪能で仏教を英語で紹介して禅の思想を欧米に広げた鈴木大拙（すずきたいせつ）。

名著「日本的霊性」などを遺した東洋思想家です。

鈴木大拙の見る日本人の霊性（スピリチャリティー）とは、特徴としては、大地性、無分別智（むふんべつち）、莫妄想（まくもうそう）の３つ。

鈴木大拙が生前、語っている貴重なユーチューブ動画（←ここをクリック）もあります。

鈴木大拙は深層心理学者のカール・グスタフ・ユングとも親交があり、ユングらが主催したスイスでの「エラノス会議」に出席。霊界の実相を克明に記したエマヌエル・スヴェーデンボルグなどヨーロッパの神秘思想の日本への紹介も行いました。ハイデッガーとも個人的に交流があり、東西思想の融合に力を注ぎました。

ジョブズが作ったアップルの様々なツールは、鈴木大拙の言う日本人が培ってきた「日本的霊性」が集約された「無分別智」が基本となっています。

ユーザビリティ（使いやすさ）、ユーザーインターフェイス、プロダクティビティーの考え方。つまり、主客未分のソフトツールを極限まで突き詰めて作り出し、使いやすいソフトを提供していく姿勢です。

「シンプルであることは、複雑であるより難しい」とジョブズは講演で語っていますが、これは、まさに易の簡易（すべてはシンプルに極められる）の考え方そのものです。

これは、禅の思想であると同時に、やはり、易の思想、陰陽五行の未然の状態（太極あるいは無極）が極めて重要だということでもあります。

陰陽というはっきりと区別できる分別智の以前に、未分化の無分別智があり、分別智と無分別智が自由に交流し、往来することで日本の伝統的な工芸品や町工場で創られる部品の技術力にまで高められる源泉があるということです。

大脳生理学の分野では、明在系と暗在系として分け、ニューサイエンスのホログラム理論にも通じる部分です。

運命学が東西両洋の運命学を融合させ、統合できるとすれば、ジョブズが使った鈴木大拙の「無分別智」にまで行き着くでしょうし、これは東洋と西洋を融合できる日本人にしかできない特性です。

無分別智をうまくコントロールしながら、分別智と交流し、新しい発想を覚醒させていくことがこれからの未来予知の課題であり、科学技術の未来を見通す鍵となるはずです。

日本人が歴史的に培ってきた「無分別智」をうまくハンドリングできない中で、むしろ、不遇な家庭に生まれ育ったジョブズがインドへ放浪し、仏教を通じ、ヒッピー文化の中で西欧にはない発想の着眼点からアップルのツールを創り出す現象は、まさに日本的な発想の大切さを再認識させる絶好の機会になりました。

ですから、必ず、易は再び見直される時が到来します。

私は易の講義をする時、このジョブズの発想について触れ、易の根源にある生きるためのヒントが無限に広がる世界の素晴らしさを紹介していますので、その一旦を紹介しました。

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