「もう元の、僕ではないんだ」
「ポストさん……」
「私はすでにポストではないよ。」
「君たちは先程まで東京タワーにいた」
「それが何故か心変わりして仲間を探しに出かけた」
「何故だ……?」
「僕が……私が……私自身が東京タワーだからだ」
「水が木に染み込むように東京タワーと一体化したのだ」
「私の電波は、もはや物質を制御する。」
「人の記憶も制御する。」
「私は、地上を目指すまで。種子が、芽吹くようにね……」
「やめてよ……ねえ……あなたは、ウイルスで壊れちゃっただけなのよ……?」
「……」
「あなた……アツシさんなんでしょう!」
「!」
「わかってたの。あなたが――封印された悲しみを知ってたから」
「神無……来るな!!」
「きゃっ!!」
神無の目の前の、赤いトレンチコートのポストさんが赤く激しく発光した。
次の瞬間、皆の目の前に赤い花火が登っていくのが見えた。
その途端、空は夕焼けのように紅く染まり、空高く大きな声が聞こえた。
『我はアナログ・キングアツシなり!!』