第十一話 ああ、なんということ | 炊き込みホビー倶楽部

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イソロク、あんずが大変な目に遇っているその時、
ボロネーゼ一行を乗せたサムライ号は、たった今東京タワーに着いたところだった。
誕生日に呼んでもらえなかった天才発明家・トキオの逆恨みによって悲劇の眠れる少年となった、ご先祖様の友人のアツシを100年の眠りから覚ますためのこの冒険。
「ポストはウイルスに感染したのなら、きっとこの、トキオの居る東京タワーにいるはずだ!」
とボロネーゼが高らかに言うと、元・仮面の男であるスケルツォは、
「しかし、アツシ開放の鍵をトキオが握っているとしても、ウイルスの原因がトキオとは限らないのでは・・・」と言った。
髪の毛がソバージュの江戸っ子、吟助三郎は、「でも、いってみなければわからないじゃないか」
と言った。
田中神菜は、「ここにアツシさんがいて、運命のキスを・・・うふふ」と言っていた。
生粋の貴婦人、しかし缶コーヒーを分け与える優しさを持つ金のアゲハチョウは、
「そんなの、アツシさんがここにいらっしゃっるなんて、初耳ですわ。」と言った。
魔家・ディミア家の長女であり、未来の東京・下町である城下町ムサシのファッション・リーダーな
マカディミアは
「56くんはどうするのよ?」
と、今は行方不明の、耳に安全ピンを付け髪を青く染めた、56の心配をした。
ボロネーゼは、
「とにかく中に入ろう」
と言った、その時。

どこからともなく、電子音のトルコ行進曲が流れ始めた。
「わあ!やばい!気づかれる!」
その音は、サムライ号から聞こえてくる。
「ちょっと待てよ、これは・・・」
ボロネーゼがコックピットのカーナビ画面を見た、その時。
ぴぴろぽーん
「みんなー、1周年、おーめーでーとー♥
アツシくんは目覚めることができましたか☆
私は、そこに乗っていますか?」


「え・・・なに、この声・・・」
「誰なのかしら!妖精さん?」

今、私は、タイムマシンの開発現場にいます!
これに、私が乗るなんて、信じられないけど、きっと、大丈夫だよね。
ねえ、トキオさん、今は何を作っているの?」

「な・・・何!?トキオだって!?」

「ああ、神菜ちゃん。今は、発射台を作っているよ。」

「おい・・・いま、なんて言った・・・?」
「かんな・・・」
「私ーーー!?」

「へえ、どんな発射台なの?」
「ポストだよ。誰にも、発射台だと気づかれないようにね・・・
「ねえ、私は未来に行っちゃうけど、トキオさんは誰もいなくて大丈夫なの?」
「私は、死ねないよ・・・そうだ、神菜ちゃん。タイムマシンを見せてあげよう。きっと喜ぶよ・・・」
「わあ!ウルトラマンに出てきそう・・・」
音声は、ここで止まってしまった。

「わたしが・・・過去から来た・・・?」
「まさか、トキオがサムライ号を作っただなんて・・・」
「トキオは!トキオはどこに居る!」
「ああ」
「なんということ」