城の事、そして何より市姫の事をけなすだけけなして、
    大広間を出ていった時綱。
     東大国の重臣衆も去り、東大国の重臣でたった一人
    残った国光。 その国光は、さすがに困った顔をしていた。
      なぜなら、今駿河の国と事を構えるより手を結べば、国内の
     より一層の充実を図ることができ、他の国に備える絶好の機会、
     と、彼自身捕えていたからだった。
   その機会を暗愚な時綱は、台無しにしてしまったのである。
 「、、、また、追って使いを立て申そう。」
   そう言い残し、国光も仕方なく主君のあとを追って下がって行った。

   馬のいななき、遠ざかってゆく蹄の音、、、、。
    しんとした静けさの中、いたたまれぬように
市姫も奥へと
    下がって行った。
  それまで、じっと下を向き沈黙を保ってきた駿河の重臣たちが、
   それを待っていたかのように、吉勝に詰め寄った。
 「 殿!」
 「 殿、」
 「 殿!」
 「 あまりにございます。 これでは姫様が、、、、、。」
  「 だからわしは最初から、反対じゃと申したのだ。」
   後ろの方から勘助の声が響き渡る。
 「 あのような者に国を預けるなど、わたしは反対にございます。」
  駿河の国の北の守り、前田利家が大声を上げた。
 「 あのような者は、切ってしまえば良かったのじゃ!」
  馬場利勝がいきり立った。
 「 皆の者、静まれ~! まあ静まれ~!
   一番腹に据えかねているのは、殿でござろう、、、
   静まってくれい!」
  日向の上、光秀が皆をとりなした。

「頬の傷」 久々の再開です。さて、どうなりますことやら?
    楽しみにしていた方、ごめんなさいね~! ナウシカ