機材紹介(2) Pentax K-70: AFアダプターと黒死病対策 | カメキチの星と野鳥写真の部屋

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Star and Birdwatching by Kamekichi
かつて天文少年だったカメキチが、長い冬眠を経て、定年退職を機に星と野鳥写真の撮影を再開した記録です

カメキチです。

今回は天体写真や野鳥撮影に使用している機材紹介の2回目ということで、カメキチがメインで使っているカメラボディ ペンタックスの K-70をご紹介します。

 

*なぜペンタックス? ボディー内手振れ補正とAFアダプター

 

ペンタックスといえば、カメキチが高校生の時は最もポピュラーなカメラブランドでした。他社のカメラが多数派となった今、何故まだペンタックス? とよく聞かれますが、カメキチは以下のような理由で今でもペンタックスカメラを愛用しています。

まず、カメキチが50年来のペンタックスファン、いわゆる「ペンタっ子」なので、ペンタックスマウントに対応したオールドレンズをたくさん持っているという点があります。ペンタックスはもう50年近くマウントの規格を基本的に変更しておらず、古いレンズ(Kマウント以前の42ミリスクリューマウントもアダプター経由で)がそのまま装着できます。

「そのまま装着できる」だけでしたら、他社のマウントでもアダプターを使えば同じことかもしれませんが、ペンタックスはオールドレンズを新型ボディに使った場合の測光に便利な「グリーンボタン」や、他社でしたらレンズ側に組み込まれている手振れ補正機構がボディー側に備わっているので、手振れ補正が付いていないオールドレンズでも補正が利くという利点があります。

更に下記写真のAFアダプターを使えば古いマニュアルフォーカスレンズもオートフォーカス化出来ます。

 

補足 テレコンを兼ねてますので、焦点距離は1.7倍になります。

 

オートフォーカスレンズが出回り始めた頃、他社からもマニュアルレンズの資産を活用するためのAFアダプターが製造・販売されたように記憶していますが、その後、他社のカメラはマウントの規格が変わってしまって、AFアダプターが新型カメラでは使えなくなり、アダプターの製造・販売も短期間で終了してしまいました。今でもAFアダプターを現役で利用できるのは、マウントの規格が変わっていないペンタックスだけのようです。

というわけで、オールドレンズを後生大事に使っているカメキチのようなオールドカメラファンにとっては、ペンタックス は本当にありがたいカメラということになります。下の写真は、Pentax K-70に AFアダプターとタムロンの往年の銘玉 Tamron 30A (SP 80-200 F/2.8 LD)を装着したところです。この「大三元」「ニッパチズーム」のパイオニアとして一世を風靡したマニュアルレンズが今でも現役のオートフォーカスレンズとして活用できるのは、ひとえにこのボディー内手振れ補正とAFアダプターのおかげです。

 

 

 

さて、カメキチのように天体写真と野鳥撮影の両方を趣味にしているカメラ愛好者にはペンタックスを愛用されている方が意外と多いのですが、その理由としてAFアダプターはTリングを介して、望遠鏡にも取り付けられる点があげられます。つまりペンタックスボディとAFアダプター、天体写真ファンなら持っているであろう天体望遠鏡を組みあわせれば、野鳥撮影用の超望遠オートフォーカスレンズが手に入るわけです。私もボーグの対物レンズにAFアダプターをつけた、いわゆるAFボーグを野鳥撮影に使っていますが、その詳細はまた追って機材紹介の続編でご報告します。

その前に今回は、ペンタックス愛好家にとって頭の痛い、「黒死病」についてレポートしましょう。

 

*いわゆる「黒死病」とその対策

 

多くのペンタックスユーザーを悩ましている現象として、いわゆる「黒死病」と呼ばれる症状があります。これはある日突然(本当に突然です!)、撮影画像が真っ暗になってしまう現象です。一度この症状がでると次第に重症化し、最初は10枚に一枚程度であったものが、最後にはすべての写真が真っ黒になります。原因はどうやら絞り機構に使用されている電磁石の帯磁によって、ボディ側からレンズの絞りの制御が出来なくなってしまう(絞りが一番閉じた状態のまま開かなくなる)ことにあるようです。ですから、ボディ内の絞り制御を使わない撮影、例えばオールドレンズによるマニュアル絞りや、そもそも絞りのない天体望遠鏡を利用した撮影、ライブ・ビュー画面での撮影、更にはレンズ内に電磁絞りが内蔵されたレンズを使った場合(Pentax でしたらKAF4対応レンズ)ではこの症状はでません。問題は現在一番出回っている、絞り環のついていない自動露出レンズがそのままでは使えなくなってしまう点にあります。

カメキチのように長年のペンタックスファンとして、このようなことを申し上げねばならないのは大変辛いのですが、多くの方が指摘されているように、K-70の先々代のボディであるK-30で既にこの現象が報告されていたのに、何の対策も取らず、欠陥についてのアナウンスもすることなしに(今でもリコーさんは、多くのユーザーが報告している「黒死病」の存在すらも認めてはいないようです)長きにわたって欠陥を放置した新型カメラを製造・販売し続けたペンタックス・リコーの姿勢が問われるでしょう。カメキチはオールドレンズと天体望遠鏡を使うことが多いので被害は少ない方ですが、それでも、ちょっとしたお散歩でオートフォーカス・自動露出レンズをを持ち歩くことが出来なくなって大変困りました。

症状がでるのがおおよそメーカ保証期間過ぎた後ですが、絞り不良ということで有償修理は受け付けてくれます。いろんな方の書き込みを拝見しますと、修理代は1万5千円程度みたいです。しかし、そもそもカメラ本体の構造的欠陥と思われますので、無料で修理、或いはメーカーの責任でリコールするのが筋かと思います(訴訟大国アメリカでは集団訴訟にまで発展しているそうな)。

とは言え、このままでは困りますので、カメキチもいろんな方々がサイトで紹介されている「民間療法」を試してみました。カメラを分解して電磁石のU型金具を自分で交換したという強者もいらっしゃいますが、分解したりする必要もなく一番ポピュラーなのは、消磁器をつかって内臓電磁石を消磁する方法のようです。

カメキチは素人ですので、その原理はよくわかりませんが、いろいろな方の記事を参考に、下の写真のような器具を自作しました。

 

 

これは100円ショップで売っている携帯用の扇風機の羽根を取り除いて、代わりに使い切ったボールペンの軸を差し込み、その先にダイソーで買った強力ミニマグネットをガムテープで接着しただけのものです。マグネットはダイソーで売っているものが一番磁力が強いようですね。尚、磁石を取り付ける際は、縦ではなく、横向きに、つまりモーターの回転に伴って磁石の陰極と陽極が高速で入れ替わるようにした方が効果的のようです。

使い方はいたって簡単で、扇風機のスイッチを入れて、高速で回転する先端の磁石をカメラの電磁石がある部分に近づけます。その際、カメラボディをむき出しにしたり、分解したりする必要はありません。レンズを装着する際に目印として使っている赤いマウント指標の近く、概ね下の写真で黄色い楕円で示したあたり(カメラ内部の楕円で挟まれた部分に電磁石があるそうです)に10秒程度、回転した磁石を這わせて下さい。その際、カメラの微妙な部分を磁石でこすって傷つけないように注意して下さいね。

 

 

嘘か誠か、カメキチの場合、この器具で定期的にカメラを手入れするようになってから、あれほど頻繁に出ていた「黒死病」の症状は全く見られなくなりました。もし同じ症状でお悩みの方がいらっしゃいましたら、修理に出す前に、だまされたと思ってこのわずか税込み220円(扇風機110円+マグネット110円)で済む方法を是非お試し下さい(あくまで自己責任でお願いします。効果がなくとも、カメキチは何ら責任を負いかねますので、あらかじめご了解下さい!)。

 

カメキチ