新婚生活が始まって数か月ほど、これからのことを話し合う奥さんと僕。

やっぱり子供は欲しいな~二人が理想かな~子供が出来たら今のお家は手狭だな~あとやっぱりフォトウェディングだけじゃなくてちゃんと挙式と披露宴もしたいな~

と、いろいろ夢が広がり続ける奥様(と、それを若干冷徹に眺める僕。いったいいくらカネがかかるんやろぉ…)

そう。

とにもかくにも先立つものがなければならんわけで、要は世の中ゼニやゼニ!地獄の沙汰もカネ次第や!

とまではいかないけども、一方的に目を輝かせながら夢を広げ続ける奥さんですが、さすが非正規雇用なわりに僕よりも貯蓄が多いだけはあり、夢が大きければ大きいほどカネが飛んでいくことも痛いほど承知なようで、今後の生活費と貯蓄の心配をし始めます。

一応、二人で生活し始めてからは家計簿をつけていはいたのですが、これまでの二か月の家計簿を見て、黒字にはなっているが本当にこれがいいのかどうかがわからない。ヨソのお宅の台所事情も知らないし、何歳までにいくら貯めておけばいいのかもわからない。いったいどこを目指していけばいいのか?独身のころはそんなことまったく何も思わなかったのに、家庭を持つと途端に将来のことが気になって不安になります。

僕も最初は「黒字なんだから別にいいじゃん」と気楽な態度でしたが、奥さんは「先行きが見えないのが嫌!私たちの生活がこれでいいのかわからなくて不安になる!」と心配性なこともあり、改めて人生設計をすることに。

そこで頼りにしたのが、知人から紹介されたファイナンシャルプランナー、Fさん



Fさんの本職は生命保険の営業?さんで、ちょうど僕の独身時代に契約していた生命保険が満期償還して解約してしまっていたので、所帯を持ったのを機に別の生命保険を探そうと相談に乗ってもらったのですが、このFさんさすが大手生命保険の営業さん(※1)超有能プランナーで、非常によく助けていただきました。

地元のターミナル駅で奥さんと一緒に待ち合わせ、Fさんと合流し初対面の挨拶もそこそこに近くの百貨店のカフェで話し合いをすることとなりました。

Fさん、柔らかい口調ながらハキハキと喋る妙齢のレディで、もう有能エリート営業の雰囲気がプンプンでした。しかし一方で話す内容はわかりやすく、まずはなぜ保険に入るのか?その必要性は本当にあるのか?という初歩の初歩から説明してくれます。

そしてそこから人生設計の話へ。人生にはどんなイベントがあって生涯でいくらぐらいのおカネが必要で何歳までに月々いくら貯蓄していくべきか?という核心に迫っていきます。奥さんにとってはまさしくこれが聞きたかった!という内容です。

まず、将来子供に恵まれて、仮に子供が二人、二人とも公立学校に通わせながら大学へ進学させる予定で、二人分の学費。そこから10年から15年おきに大型家電や車を買い替え、かつ老後の資金を貯蓄しつつ、もしものときのための現預金も確保。それから月々の光熱水費に食費、交際費、年に一回は家族で旅行、そして、もちろん住居にかかるおカネ…

収入は、高卒程度公務員である僕の年収500万を前提とする。奥さんも働いていて収入が250万ほどありますが、よりシビアに考えて、奥さんを専業主婦として僕の一馬力で家計を支えるものと仮定しました。

それで諸々を計算していくと…



案外、余裕あるんじゃね?とのこと。


いやいや?マジすか?高卒程度公務員で子供二人で奥さん専業主婦とか、ぜったいカツカツの極貧生活を予想してたのに…

と思ったんですが、確かに目の前のノートパソコンでカチカチっと打ち出された計算上は余裕があるように見えます。Fさん曰く、僕たち夫婦に海外旅行等のおカネのかかる趣味がないことが大きな要因だとか。たしかに贅沢はせず、慎ましやかに小さな幸せを大事にする家庭にしたい、というのが僕と奥さんの人生目標でした。つまり贅沢さえしなければ僕の年収でも十分暮らしていける、ということです(※2)

そこで、それなら持ち家となるとどうだろう?と、当初は賃貸暮らしで人生設計をお願いしていましたが、じつはマイホーム購入を検討してて~とFさんに相談することに。

「自己資金はおいくらぐらいですか?」とFさん。

「貯金が700万ぐらいしかないので、結婚式の費用とか諸々考えると頭金で出せて200万ぐらいです!」

ご実家からの援助は?」

「皆無です!実家の唯一の財産は借金が無いことだけです!」

「ということは、ほぼほぼ住宅ローンをご利用されると」

「そうです!できればフルローンかなと考えてたり!」

「なるほど。実は私、前職は銀行の融資課で住宅ローン担当してたんですよ


え!?そうなの?


Fさん、まさしく専門家でした。

僕たち夫婦はここで初めてマイホームのことを専門家に相談する機会を得たのでした。

ただし、Fさんは設計士でも不動産屋さんでもなく、おカネのスペシャリスト。さらにトータルライフプランナーも自称されており、夢ではなく純粋に現実を見据える厳しい目線をお持ちです。

つまり僕たちのマイホーム計画は、シビアなおカネの問題を基点としてスタートしたのでした。そしてこのFさんの意見と目線が、その後の全ての基本となっていくのです。



※1大手生命保険の営業さん…ちなみ蛇足な話で、僕の職場の大先輩の息子さんが生命保険会社の営業さんらしいのですが、大先輩がぼやくには「あいつ、20台のくせに月収が俺のボーナス超えてやがるんやで…」とのこと。っぱ生命保険会社の営業さんってエリートなんやなぁって…ただ、労働環境は漆黒の超ブラックだとか。

※2僕の年収でも十分暮らしていける…この前提は物価が現在水準で維持するものと過程しています。これからの円安と悪性インフレが悪化すればこの前提は大いに狂うので、余裕があるという結論は僕は若干割り引いて聞いていました。当然Fさんもその点は理解されています。実際にはやはりカツカツで、十分な余裕があるとは言えないでしょう。ただし、公務員なので毎年の昇給はあるものとしています。