引き続きコロナ感染者数の推移です。トレンドには変わりはなく、全道、札幌とも11月24日にピークアウトしたあと感染の勢いは落ちています。
札幌以外のエリアでも12月2日にピークアウトしたあと、新規感染は減っています。
さて、旭川市の西川市長は市内の医療機関のコロナ患者受け入れがひっ迫している、として自衛隊に看護師派遣を要請しました。
傾向として高齢者の入院が多く、介護を必要とする状態ですと人手を多く割かないと対応が難しい、とされています。
旭川市を数字で概観してみます。人口33万5千人。市内の病床数は7,800床。
市内のクラスター発生に伴い、コロナ病床は11月初めの50床から191床に増やされました。
もともと持病があり入院している人が感染してコロナ病床に移る→その後治癒したがコロナ病床に転換されたため一般病床が不足し戻れない状況が発生しているそうです。
人口33万人の旭川市にしてこの状況です。
もっと人口の少ない市町村でクラスターが発生したら?
【示唆に富む奥尻町のケース】
奥尻町のケースで考えてみます。奥尻町は人口2,600人ほど。コロナ病床は1。ここでクラスターが発生し、53人の患者が発生しまし島外へ患者さんが緊急搬送されました。搬送された先は函館市が多かった、とのことですが函館市の医療機関の受け入れに予想外の負担がかかったのは間違いありません。
比率だけで見ると、人口10万人当り、札幌43人、旭川68人、奥尻町は2038人となります。
(UHBニュースから)
北海道の179市町村のうち、人口1万人を割っている自治体は2010年で118。2040年には133まで増えます。
あまり増えないね、とは言っていられません。上の表で明らかなようにそれぞれの自治体が人口を減らすのです。
人口5千人を割る自治体は66から109へ。人口5千人を割ると病院の維持が難しくなります。
人口2千人を割る自治体はそのうち24から69へ。人口3千人を割ると歯科診療所の維持が難しくなってきます。
これらが広い北海道に点在することになります。
これらの街でコロナのクラスターが発生すれば、一人の患者に数名の医療スタッフをつけて最寄りの拠点となる病院に搬送を行うことになるでしょう。軽症なら複数の方を一台のワゴン車で…となるかもしれませんが。
他の都道府県と違い、広大な土地に人口の減った自治体が点在する北海道。今のところ、札幌など感染が拡大しているエリアとの行き来が少ないことでこれら小さな自治体でクラスターが発生していないのが救いです。
コロナ感染が2040年に起こっていたら?100キロ、200キロ、先の自治体から応援要請を受けた中核都市はどうしたら?
【結び】
北海道は開拓により居住域を広げてきた歴史があります。防衛上の理由もありそれは国策で行われてきました。
人口減により今逆のことが北海道に起きようとしています。
北海道は520万人と人口が多い土地。そして老齢化の進行速度も速い地域です。昭和30年代、40年代には平均年齢では日本で一番若かった地域でしたが2040年には高齢化比率は各都道府県中4位まで上がります。
人口が多い分、人口減の絶対数も多く、2019年の北海道の人口減は42,000人。北斗市(人口46,000人)が一つなくなったのとほぼ同じです。
コロナだけではなく、台風や地震、広域停電などいろいろなできごとがあるたびに医療を中心に住民のケアが問題化します。
人口減はある程度計算できます。各市町村の税収も、そのマチの医療体制も予想ができます。北海道として、各市町村としてどのような対応を準備すべきか、地味で暗いものになりますが議論が必要です。
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