星槎道都大の金融論の授業。この日は高橋是清、ほかについて。
いつもはこのブログでは中小企業、これからどうする?という目線のお話をしますが今日はちょっと角度を変えてみます。
今、金融論と経営情報論を担当していますが、この二つの授業の境目にあるトピックがあります。例えばデジタル通貨。
金融論では、中央銀行デジタル通貨がどのように金融政策に影響するか。Libraなど中央銀行のコントロール下にないデジタル通貨はどう扱われるのか。
経営情報論ではデジタル通貨の利用が普及する前提で企業側はどのような準備をしなければならないか、など両方の授業にかぶってくるのです。
今のところ経営情報論の方によく登場する企業で、金融論でも重要な位置を占めそうな企業があります。
それは、Amazon。
GAFAの一角としてよくとりあげられる企業です。
企業としての特徴は、通販事業者として顧客満足度をどんどん引き上げてきたことです。今までのAmazonを表現すると「ECに長けた倉庫業者」、となります。
と思えばクラウド事業である、Amazon Web Serviceはいつの間にかAmazonの有力な収益源に育っています。
Google、Facebookが広告収入を収益の主体としているのに対しAmazonの特徴は顧客の嗜好や行動をより詳細に把握できること。通販事業者ですから。
実は地銀再編が現実味を帯びる中、「Amazon銀行」誕生の可能性がささやかれます。(NewsPicks、2020/10/26、「【迫真】地銀がアマゾンの「下請け」になる日」)
まんざら絵空事ではなく、アメリカ国内では銀行経営をすると他の業務を併営することはできませんが日本では可能です。ですので楽天銀行やイオン銀行が誕生できたわけです。
楽天銀行の業務純益を地銀ランキングにあてはめるとすでに10位に相当するところまできています。
Amazonはすでにこれぞ、と見込んだ出展者に独自の融資を行う仕組みを持っています。(日経ビジネス、2017.9.29、「特集アマゾンPART 2
全てをのみ込む⼩宇宙」
Amazonのマーケットプレイスで物販を行っている企業を融資対象として見た場合、Amazon銀行の有望なマーケットになるのではないでしょうか。
Amazonだけではありません。
セブンイレブンは精妙なサプライチェーンマネジメントを確立しています。新商品/新サービス開発をする中でメーカーと協業して新たな製品を作り上げることは日常的に行われています。そこにセブン銀行が融資を付けたら?
Amazonもセブンイレブンも、もし本格的な法人融資業務に踏み込んだとしたら、情報カをバックに資金がイキイキと動く様子が目に浮かびます。
…もっとも、Amazonにとってアメリカで取れない銀行免許が日本なら取れる、というのは良いとして、世界中のいろいろな国でビジネスをしているわけでマーケットとしてわざわざ「ゼロ成長、ゼロインフレ、ゼロ金利」の日本を選ぶか?というのはあります。
個人客、という目線では日本だけでAmazonにアカウントを持っている人の数は5000万人。しかも購買履歴からその家族構成や今どんなライフステージにあるかがだいたいわかっています。ローンの提案などこちらも有望なマーケットになるはず。
これはイオン銀行もセブン銀行も同様です。
地銀はPERが低く、時価総額と企業規模を比べると格安、なレベルにあります。例えば北洋銀行の総資産は10兆円近いのですが時価総額は約1000億円。地銀や地域金融機関がAmazon銀行などと協業する選択肢はいくつかありますが手っ取り早く「買われる」ということもでてくるかもしれません。
かぼちゃの馬車事件で経営危機に陥ったスルガ銀行に出資したのは家電のノジマでした。地銀を地元の元気な企業が買う、ということもあり得るのです。
地銀再編は単に合併で数を減らすだけではなく、このような業際をひらりとまたぐ動きがでてくるかもしれません。
「倒産のリアル」発売になりました。
コンサルタントを始めていままで見てきた再生の現場をなまなましく描きます。
「ビジネス書とも、経済小説の短編集とも取れる内容。普段あまり本を読むことのない自分でも一気に読めた」
「文体や段落、行間やダッシュの使い方がミステリー小説の文体に近くつい引き込まれた」
などのご感想をいただいています。
今まで、事業再生関連の本は、ガイドブック的な造りだったり、解説書風だったり、あまり読んでいて面白くない文体のものが多かったので、そうでないものを、ということで書き下ろしました。
札幌市内ではコーチャンフォーさん、ジュンク堂さん、札幌駅横の紀伊国屋書店さんなどに置いていただいています。
お手に取っていただければ幸いです。
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