ハンコの自販機。名前を打ち込むとその場で削り出ししてくれます。

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 さて、M&Aが盛況となってきました。

 

 背景には、コロナ対策融資やセーフティネット保証で

 

 「とりあえず手持ち資金はある」

 

 「今のうちに減少した売上を補う手立てをとりたい」

 

 という会社さんから小口のM&Aのニーズが出始めていることがあります。

 

 日本M&Aセンターさんのような、従来の規模感のM&Aに加え、小規模企業/零細企業もM&Aの対象になってきているのも追い風です。

 

 いろいろな方が仲介に入ります。会計事務所やその関連のコンサルティング会社、などぞくぞくとM&Aマーケットに算入されています。

 

 M&Aで「自社を売りたい」という売り希望があったとき、型通りのデューデリジェンスをするとどうしても価格がつかない時があります。単年の収支は黒字だが、債務超過状態、などのときです。

 

 そうなるとついつい「売れません」という結論になりがちですがそこで、

 

 「債務超過≒借入過多が問題ならそれをなんとかできないか」

 

 という目線をいれてみると…

 

➀債権買取会社に入ってもらい実質債務カットを行う …金融機関借入を債権買取会社(サービサー)に買い取ってもらい、買い手企業がサービサーに弁済を行う。それを通じて実質的に債務カットを行う。金融機関借入が複数あっても可能です。一方、債権者に政府系金融機関や北海道信用保証協会が入ると難しくなります。

 

②業績の回復 …収益力を回復させて債務超過を圧縮。収益力が高ければ売値も高くなる可能性がありますし、企業体質を強くしておくのに越したことはありません。基礎的な収支が赤字だがどうしても売りたい、という時にも使える手立てです。ただし収益力の回復には時間がかかりますしその間の資金繰りのめどをつけながら、ということになります。

 

③事業譲渡の形でM&Aを行い、債務は旧会社に残す

 

 金融機関借入の処理はたいてい経営者の連帯保証問題とセットになりますのでその目線でチェックを入れることも必要です。

 

 法人が売れたあと、「社長個人に何が起きる?」という予想と対策が必要なのです。

 

 書いたように売値がつかない=絶対M&Aできない、ということではありません。

 

 また、M&Aは事業承継問題の出口であることも多々あります。

 

 単にM&Aできない、「では廃業」という事で良いのでしょうか。後継者がいない状況なのでM&Aを検討されておられるのでしょうから買い手がつき、事業と雇用が継続できるに越したことはありません。

 

 「売値がつかない、M&Aできない」と言われたら「本当にそうか?」という見方でセカンドオピニオンを取ることをお勧めします。

 

 

 

 新著「倒産のリアル」発売になりました。

 

 コンサルタントを始めていままで見てきた再生の現場をなまなましく描きます。

 

 「ビジネス書とも、経済小説の短編集とも取れる内容。普段あまり本を読むことのない自分でも一気に読めた」

 「文体や段落、行間やダッシュの使い方がミステリー小説の文体に近くつい引き込まれた」

 などのご感想をいただいています。

 今まで、事業再生関連の本は、ガイドブック的な造りだったり、解説書風だったり、あまり読んでいて面白くない文体のものが多かったので、そうでないものを、ということで書き下ろしました。

 

 札幌市内ではコーチャンフォーさん、ジュンク堂さん、札幌駅横の紀伊国屋書店さんなどに置いていただいています。

 

 お手に取っていただければ幸いです。

 

 

 

 

 

 

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