もう今年は出番がなさそうな扇子。

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 さて、首相が交替したことでささやかれているのが中小企業政策の転換です。

 

 戦後の中小企業政策は、力が弱いなりにがんばりなさい、という目線のものでした。代表的なのが、中小企業が集まって組合を作り、工業団地や商店街を作る形式のものでした。

 

 時は下り、2000年以降になると本格的な「ゼロ成長、ゼロインフレ、ゼロ金利」の時代が到来します。

 

 儲けが出にくく、何かあったときの傷は深くなりがち、ということでここまでの20年間、非常にきめ細かい中小企業保護策がとられてきました。

 

 再生分野でいうと、

 

 金融円滑化対応の定着 …リーマンショック対策で緊急保証がでたあと、返済に行き詰まる会社が続出するだろう、ということで返済条件猶予を法で定めました。その後、法は廃止されましたが円滑化対応は残りました。

 

 中小企業再生支援協議会の定着 …支援協が中心となりリスケや債権放棄の段取りを行う仕組みが定着しました

 

 助成金、補助金 …消費税引き上げ時のキャッシュレス決済普及を後押しするため、IT補助金を作る、など機動的、きめ細かい対応をしてきました。

 

 筆者がいままで見てきたものを思い返いかえしても「お上がここまでやるか?」と感じたものがいくつもあります。(事業承継税制やM&A補助金など…)

 

 日本の中小企業再生は官主導と言って差し支えない状況だと思います。(どうしても民=再生コンサルタントの出番、というシチュエーションもありますが)

 

 菅首相が登場し、ささやかれているのがブレーンと目されている、デビッド・アトキンソン氏の主張を取り入れ、中小企業の保護から中小企業の淘汰、競争へ舵が切られる可能性が高いと思われています。

 

 コロナ前から、「ゾンビ企業をどうする?」などの論議がありました。そこにコロナ禍が発生し、とりあえず倒産回避、ということで給付金や金融融資で急場をしのぎました。今回大量に出た融資について据置期間や利子補填の期間が明けて、返済負担、利息負担が始まってくると返済に詰まる企業が続出することは容易に予想されます。

 

 そこで、国が返済を猶予してでも残す企業と貸倒が発生しても整理する企業を選別するのではないか、と考えられているのです。

 

 首相就任前、9月6日の日経新聞インタビューでも、

 

 「中小企業の統合・再編を促進すると表明した。中小の成長や効率化の阻害要因とも指摘される中小企業基本法の見直しに言及した。アベノミクスの継承と同時に、グローバル市場における日本経済の競争力強化に政策の照準を定める。」

 

 との表明がありました。

 

 もともと生産性が低い日本。

 

 ポストコロナのタイミングでメスが入ります。

 

 

 

 

 新著「倒産のリアル」発売になりました。

 

 コンサルタントを始めていままで見てきた再生の現場をなまなましく描きます。

 

 「ビジネス書とも、経済小説の短編集とも取れる内容。普段あまり本を読むことのない自分でも一気に読めた」

 「文体や段落、行間やダッシュの使い方がミステリー小説の文体に近くつい引き込まれた」

 などのご感想をいただいています。

 今まで、事業再生関連の本は、ガイドブック的な造りだったり、解説書風だったり、あまり読んでいて面白くない文体のものが多かったので、そうでないものを、ということで書き下ろしました。

 

 札幌市内ではコーチャンフォーさん、ジュンク堂さん、札幌駅横の紀伊国屋書店さんなどに置いていただいています。

 

 お手に取っていただければ幸いです。

 

 

 

 

 

 

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