すっかり朝晩寒くなり、こうなると1年を振り返りたくなりますね。

 今年は高校の同窓会は中止、同窓会誌のみ作成されました。

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 さて、電子帳簿保存法の改正が10月1日に行われました。今回の目玉は二つ。

 

 デジタル化の風は税務にも吹くのか…

 

【キャッシュレス決済は領収法保存が不要に】

 クレジットカード、QRコード決済、電子マネーなど電子的に支払記録が残るものについては個別の領収証保存が不要となりました。

 

 これは領収証整理の手間暇を考えると非常に大きな改正かと思います。特に零細企業や個人事業主の負担軽減効果が大きいと思います。

 

 これによりますますクラウド会計とこれらキャッシュレス決済とのデータ連動(取引記録を仕訳として会計アプリに取り込んでいく)が普及していくのではないでしょうか。

 

【現金領収証は経費精算アプリ+電子帳簿保存届出で】

 現金領収証は、画像データやPDF保存をしても保存日の改ざんの余地があるものは電子帳簿保存できませんでした。今回、クラウド上で利用できる経費精算アプリを通したものであれば電子帳簿の要件を満たす、ということになり電子帳簿保存の届け出を税務署に提出することで電子データ化したものを保存し、原本廃棄の道が開きかかっています。これも零細企業や個人事業主の手間暇の軽減に福音となるものです。

 

 従来は、電子化する際に「タイムスタンプ」が押される仕様のアプリと専用の読み取り機が必要でコストも高いものだったからです。

 

【ただし消費税の仕入税額控除の証憑保存という面で注意が必要】

 例えばQRコード決済をすることで法人税法上は原本の領収証が保存不要となるのは良いのですが、消費税法上、仕入税額控除の要件を満たすか?と言う問題が残ります。

 

 例えばスーパーで雑貨を買ったら10%、会議用の茶菓を買ったら8%の消費税率が適用となりますが、これをクレジットカードで払った場合、税率の適用区分までデータが残るか?という問題が残ります。

 

 消費税の仕入税額控除を受けるためには、領収証に

 

  書類の作成者の氏名又は名称

  課税資産の譲渡等を行った年月日

  課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容

  課税資産の譲渡等の対価の額

  書類の交付を受ける当該事業者の氏名又は名称

 

 が表示されていなければなりません。

 

 先の税率が混在しているような場合、結局原本である領収証を保存しなければならないことになります。

 

 特にこのあと2023年(令和5年)10月から消費税にインボイス制が導入され、基本的に非課税事業者がなくなる、という予定が控えています。そしてそのインボイス(適格請求書)には適用税率の別を明示しなければなりません。

 

 今回の電子帳簿保存法の改正はありがたいのですが消費税法の仕入税額控除とどう整合させるか。結局紙の原本を保存しなければならないのならデジタル化とは言えません。

 

 電子レシートに切り替えるのか。キャッシュレス決済のデータを消費税率別に整理するようにするのか。短い時間ではありますが2023年までのもう一段の対応が待たれます。

 

 

 

 

新著「倒産のリアル」発売になりました。

 

 コンサルタントを始めていままで見てきた再生の現場をなまなましく描きます。

 

 「ビジネス書とも、経済小説の短編集とも取れる内容。普段あまり本を読むことのない自分でも一気に読めた」

 「文体や段落、行間やダッシュの使い方がミステリー小説の文体に近くつい引き込まれた」

 などのご感想をいただいています。

 今まで、事業再生関連の本は、ガイドブック的な造りだったり、解説書風だったり、あまり読んでいて面白くない文体のものが多かったので、そうでないものを、ということで書き下ろしました。

 

 札幌市内ではコーチャンフォーさん、ジュンク堂さん、札幌駅横の紀伊国屋書店さんなどに置いていただいています。

 

 お手に取っていただければ幸いです。

 

 

 

 

 

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