北海道信用保証協会の5月の付保状況が発表されました。例年ですと月初5-6日で公表されていたのですがコロナ禍で業務が集中しているせいか、この2か月は遅れ気味になっています。
まず付保保証承諾額の12か月移動合計です。(映像をクリックすると拡大します)
今年4月5月でロケットのように増加しているのがわかります。これは12か月移動合計ですので、単月で比較すると、
4月 前年 21,846百万円 今年 72,090百万円 (330.0%)
5月 前年 23,172百万円 今年 252,506百万円 (1089.7%)
となります。いままで単月の付保保証承諾額の最高値は平成26年12月の48,762百万円ですので史上初、空前の付保を行ったことになります。
リーマンショック時も特別保証枠が作られ、中小企業に資金供給が行われました。リーマンショックが起きておおよそ1年かけて最高値を記録しています。金融危機に端を発したクライシスがじわじわと経済に影響したことがくみ取れます。
それに対し今回の増加はわずか二か月でリーマンショック時の増加を上回っています。それほど緊急事態宣言による経済活動の停止のインパクトは大きく、広く、日本経済を揺るがしたのです。そこで空いた穴を保証協会付融資(日本政策金融公庫のコロナ融資も)でふさいだ、という事だと思います。
リーマンショックと今回のコロナショックの間、実は東日本大震災の道内の保証協会融資のニーズはさほどなく、山としては現れていません。胆振東部地震の対策保証も北海道全体の付保額を持ち上げるほどの金額にはなりませんでした。
この結果、保証残高はリーマンショックで増えたあと、平成22年5月にピークアウトし、ずっと減り続けていましたが3月で底打ちし、増加に転じています。
金融機関の業態別に見ますと、いろいろな業態共通でコロナで付保を大きく増加させています。
よく見ると地銀、第二地銀が直前まで保証残高を減らしていたのに対し、信金は平成30年春頃から保証残を増やしています。地道な融資先開拓の努力を感じます。その増加は平成30年9月の胆振東部地震後にさらに鮮明になります。
保証枠という意味では今回はリーマンショック時の数倍の枠が用意されています。コロナ禍であいた赤字の穴を埋める、企業の資金需要がどこまで増えるか。
また、第一次のコロナショックを乗り越えた後、返済を開始できるか。1-2年後には金融円滑化法(リスケを制度化した)を超える何かの措置が必要になると思います。(この項は別記事で)
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