中小企業再生とは離れます。今日はちょっと大きなお話です。

 

 日本の温暖化ガス排出量は毎年きちんと統計が発表されています。

 

 東日本大震災以来、6年が経過しました。その間ほとんどの原発が停止し、原発の替りに火力発電所が稼働しています。その間の温暖化ガス排出量は増えたでしょうか。(環境省「日本の温室効果ガス排出量の算定結果」)

 

 意外や、温室効果ガス排出量はこの3年で急減しています。さらに排出量計算ではどのセクターがいくら輩出したかもちゃんと計算しており、発電関連はエネルギー転換部門として計上されていますが2013年比2016年は10%以上減少しています。

 

 安倍政権にとってあまり都合の良い統計ではないのだろうな、と思いますがそれは置き…

 

 省エネの進展、人口減によるエネルギー消費の減少などが原因として考えらえられます。

 

 この数年、アベノミクスの進展で日本の名目GDPは異次元の金融緩和を背景にデフレにもかかわらず増加しています。最近の底は東日本大震災のあった2011年で491兆円。2016年には537兆円まで増加しています。5年間で9.4%の増加です。

 

 同じ時期に温室効果ガス排出量は13億5000万トンから13億2000万トンに減少しています。こちらは年0.5%の減少。

 

 昔々、民主党政権下の2010年、私はこんな記事をブログを書きました。

 

 「CO2排出と中小企業再生

 内容は、「民主党政権はGDPを650兆円に増やす一方、温暖化ガス排出量を25%減らす、という目標を掲げているができそうにない」というものでした。GDP1兆円当りの排出量を半減しないと達成しないから、というのが根拠でした。

 

 で、最近20年のGDP1兆円当りの排出量を計算してみました。

(クリックで拡大します)

 

 この4年間で急速に落ちてきているのがわかります。東日本大震災とその復興関連で増えたものがもとに戻ったようにも見えます。

 

 減った原因は?

 

 環境省のレポートでは、「電力消費の減少」「発電効率の改善」「運輸製造など製造部門での排出減少」を上げています。

 

 温暖化ガス排出量のうち、エネルギー転換部門(発電のために発生するものを主とします)だけを抜き出すとこのような増減になります。

 

 

 電力消費の減少の背景が少子高齢化によるものであればこのトレンドは今後も続くかもしれません。

 

 GDP1兆円当り排出量の直近のピークは2012年。2012年比2016年は280万トンから249万トンまで減少しています。年間3.7%の減少です。乱暴ですがこのトレンドがもう10年位続けば、民主党政権の掲げた目標は達成できてしまうということになります。

 

 ひょっとすると日本は世界で初めて経済規模の維持と省エネ、温暖化ガス排出減を両立させる国になるかもしれないのです。