氷漬け状態の札幌。土曜日一杯は厳しい寒さが続く模様。
通常、事業譲渡や民事再生などのスキームを使う再生事案では、「手続き終了」が「おしまい」「クローズ」。チーム対応していればそこでチームは解散、「お疲れ様でした…!」となります。
しかし…本当はそれはゴールではありません。
年末年始、なぜか家計のご相談やアドバイスで終わる案件が続きました。
一例ですが、「〇月末に○○万円資金が足りません。どうにかする方法はありませんか?」
というご相談がありました。表面だけなでるコンサルティングなら資金調達の方法を示して「すぐやってください」が答えになります。しかし…
「手立てをとることで〇月末を超えられたとして、その次の月末はどうなりますか?」
「…まだ苦しい時期が続くと思います」
「それはどうしてだと思いますか?」
「儲けが足りないからです」
「家計はどうなっていますか?」
「会社のムリが家計にしわ寄せされていて…カード類の払いが重いです」
「それが本当のおカネが苦しくなっている原因ですよね。それを何とかしないと先に続いていかないですよね」
結局、家計まで含めた財政の建て直しをしなければ会社の資金不足は解決しません。根っこに手を付けず、「では家計を立て直しましょう」とやってしまえば今度は法人にしわが寄ります。
「つらいですよね。だからこそこの状況から脱しておカネのことで頭を悩ますことがないようにしたいですよね」
「…はい」
法人の立て直しのご相談は結局家計の立て直しまで手を入れないと解決しないケースが非常に多いのです。
そこまで計算に入れるためには、月々の家計がきちんと把握できていなければなりません。しかし、実際のところ、「毎月家計でいくら必要ですか?」と聞かれて即答できる経営者はほぼいません。また、奥様に同席いただいて同じ質問をしても家計をきちんと把握していないケースを多く見ます。
中小零細企業の立て直しの共通キーワードは、
「法人財務の見える化、資金繰り予定表の作成」だけではなく、
「家計の見える化、家族構成を考えた、将来の支出見込みを入れ込んだ収支表の作成」
「それをもとに、商売立て直しの目標設定」(=いくら稼げばいいのか)
となります。
先の例では、
「資金調達ができたら教えてください。でもそれはゴールではなくてその先どう改善していくかの方が大事ですよ」とお話したところ、何度も、
「わかっています、わかっています」と返事をされていました。
見える化のあとは、
「強みの確認」「営業努力をどこに集中できるか」にコンサルティングの中心が移ります。
おカネにさほどの余裕がなく、またマンパワー的にも不足気味の中小零細企業で立て直しをしていくわけですから、クラウド会計を筆頭に安く使える・無料で使える管理ツールを総動員してコストをかけず手間を省きながら改善をしていくことになります。
その中で新規事業の立ち上げなど前向きのニーズもどんどん出てくるでしょう。
「事業再生は短期の対応が多い」と思ってやってきましたが事実はそうではなかったようです。