六花亭、札幌本店、初めて行くことができました。

昨年7月、金融庁から「金融モニタリング基本方針」が発表されました。人口減を背景に金融庁が地域金融機関をどう見ているか?金融庁が思う、「地域金融機関のあり方は」がにじみでた内容となっています。
この1年間に行われた実際のモニタリングの結果がまとめられ発表されました。その内容とは…
1.モニタリング元年
従来、金融庁の金融機関に対する検査は、統一基準に基づき、「ルール通りに管理が行われているか」に主眼が置かれていました。そこに風穴を開けたのが昨年発表された「モニタリング基本方針」です。大企業を除き、中小企業に対する事業性の評価は基本的に「金融機関の評価によるものとする」とし、裁量の幅を大きく広げました。平たく言うと、みかけの財務諸表は悪くとも、「事業に将来性あり」と金融機関が判断すれば、支援の継続について金融庁として特段指摘は行わない、というものです。
また、そのような対応を行う目的として、基本方針では「デフレ脱却」「高齢化対策」のため金融機関が経済の「好循環」を実現するため、と明記しています。そのために、いままでなかった「高度かつ柔軟な」金融機関の運営を要求しているのです。
2.地域銀行の置かれている位置
「人口減が予想される中、5-10年後を見据え、(金融機関として)中長期的に持続可能なビジネスモデルを構築しているか」「適切な(借り手の)事業性評価」「リスク管理体制の充実は」などの切り口でモニタリングが行われました。
踏み込んでいるのは、このまま貸出利息が低下していくと、数年のうちに経常赤字に転落する地域金融機関が出る、と指摘しているところです。
この点については週刊ダイアモンド誌がさらに詳細な分析を加え、各地域銀行が、「赤字転落するのはどれくらい先か」を一覧にしています(平成27年9月15日号)。同誌では地銀105行のうち下位の50行は、おおよそ7年以内に赤字転落。早い銀行では3年足らずのうちに赤字に、という衝撃の内容です。
もっとも過去の利益の蓄積がありますので単年の決算が赤字転落=破たんということではありませんが、赤字が恒常化するようだと自己資本比率も下がりますし、ほどなく市場から退場、ということになります。
モニタリングレポートでは、「規模が大きくなれば経費率が下がる」というグラフを提示しています。表現としては、「規模の小さい銀行の収益率にはばらつきがあり…ビジネスモデルの違いによって高い収益率を享受できる可能性を示唆しているとも考えられる」と慎重な言い回しをしていますが、規模の拡大による収益の維持=企業としての地銀の生き残り、を暗に求めているように思います。
3.銀行経営の高度化を要求
この手のレポートには珍しく、文中にコラムがいくつか設けられています。そのうちの一つが、「事業性評価に対する評価姿勢」です。
借り手の事業性評価には、コラムで金融庁自らが指摘しているように特段、雛形があるわけではありません。その中で、「組織的に事業性評価を行っている地域銀行について、共通の特徴が認められた」として簡単な表を示しています。
共通の要素として、「経営陣による的確な課題設定と継続的な意思表明」「地域密着型金融の目的の明確化と実践の効果測定」顧客との接触時間の創出」「与信審査への非財務情報の反映」「目利きのできる人材の育成」「組織としてのノウハウの蓄積」などが挙げられています。金融庁が示す、「良い銀行」「目指すべき銀行」の条件のように私の目に映ります。
そして再度モニタリングレポートでは、「中長期的に(金融機関として)持続可能なビジネスモデルを構築するためには」と書いています。金融庁として、目線を「高度で柔軟な銀行経営により地域経済に好循環を」という高い目標に置いている以上、銀行の経営破たんなどとんでもない、足許の経営をしっかり固めよ、と言っているように思えます。
雑感ですが、銀行が借り手に要望する事業改善計画は長いものですと15年に及ぶものがあります。銀行側がその前に赤字転落し、経営が続かないようではできの悪いブラックジョークです。
「地域金融機関は地域が守り盛り立てる」という今までにない目線も出てくるかもしれません。「多少金利が高くても、地元の銀行から借りる」というような…地場のリーディングバンクの破たんである拓銀破たんの轍は二度と踏めませんから。

昨年7月、金融庁から「金融モニタリング基本方針」が発表されました。人口減を背景に金融庁が地域金融機関をどう見ているか?金融庁が思う、「地域金融機関のあり方は」がにじみでた内容となっています。
この1年間に行われた実際のモニタリングの結果がまとめられ発表されました。その内容とは…
1.モニタリング元年
従来、金融庁の金融機関に対する検査は、統一基準に基づき、「ルール通りに管理が行われているか」に主眼が置かれていました。そこに風穴を開けたのが昨年発表された「モニタリング基本方針」です。大企業を除き、中小企業に対する事業性の評価は基本的に「金融機関の評価によるものとする」とし、裁量の幅を大きく広げました。平たく言うと、みかけの財務諸表は悪くとも、「事業に将来性あり」と金融機関が判断すれば、支援の継続について金融庁として特段指摘は行わない、というものです。
また、そのような対応を行う目的として、基本方針では「デフレ脱却」「高齢化対策」のため金融機関が経済の「好循環」を実現するため、と明記しています。そのために、いままでなかった「高度かつ柔軟な」金融機関の運営を要求しているのです。
2.地域銀行の置かれている位置
「人口減が予想される中、5-10年後を見据え、(金融機関として)中長期的に持続可能なビジネスモデルを構築しているか」「適切な(借り手の)事業性評価」「リスク管理体制の充実は」などの切り口でモニタリングが行われました。
踏み込んでいるのは、このまま貸出利息が低下していくと、数年のうちに経常赤字に転落する地域金融機関が出る、と指摘しているところです。
この点については週刊ダイアモンド誌がさらに詳細な分析を加え、各地域銀行が、「赤字転落するのはどれくらい先か」を一覧にしています(平成27年9月15日号)。同誌では地銀105行のうち下位の50行は、おおよそ7年以内に赤字転落。早い銀行では3年足らずのうちに赤字に、という衝撃の内容です。
もっとも過去の利益の蓄積がありますので単年の決算が赤字転落=破たんということではありませんが、赤字が恒常化するようだと自己資本比率も下がりますし、ほどなく市場から退場、ということになります。
モニタリングレポートでは、「規模が大きくなれば経費率が下がる」というグラフを提示しています。表現としては、「規模の小さい銀行の収益率にはばらつきがあり…ビジネスモデルの違いによって高い収益率を享受できる可能性を示唆しているとも考えられる」と慎重な言い回しをしていますが、規模の拡大による収益の維持=企業としての地銀の生き残り、を暗に求めているように思います。
3.銀行経営の高度化を要求
この手のレポートには珍しく、文中にコラムがいくつか設けられています。そのうちの一つが、「事業性評価に対する評価姿勢」です。
借り手の事業性評価には、コラムで金融庁自らが指摘しているように特段、雛形があるわけではありません。その中で、「組織的に事業性評価を行っている地域銀行について、共通の特徴が認められた」として簡単な表を示しています。
共通の要素として、「経営陣による的確な課題設定と継続的な意思表明」「地域密着型金融の目的の明確化と実践の効果測定」顧客との接触時間の創出」「与信審査への非財務情報の反映」「目利きのできる人材の育成」「組織としてのノウハウの蓄積」などが挙げられています。金融庁が示す、「良い銀行」「目指すべき銀行」の条件のように私の目に映ります。
そして再度モニタリングレポートでは、「中長期的に(金融機関として)持続可能なビジネスモデルを構築するためには」と書いています。金融庁として、目線を「高度で柔軟な銀行経営により地域経済に好循環を」という高い目標に置いている以上、銀行の経営破たんなどとんでもない、足許の経営をしっかり固めよ、と言っているように思えます。
雑感ですが、銀行が借り手に要望する事業改善計画は長いものですと15年に及ぶものがあります。銀行側がその前に赤字転落し、経営が続かないようではできの悪いブラックジョークです。
「地域金融機関は地域が守り盛り立てる」という今までにない目線も出てくるかもしれません。「多少金利が高くても、地元の銀行から借りる」というような…地場のリーディングバンクの破たんである拓銀破たんの轍は二度と踏めませんから。