帯広で見かけた屋台村。

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 今日の道新に、「地銀再編道外加速」という記事が掲載されました。

 私の年齢(53歳)でいうと、子供の頃社会科で習ったことと今の社会の実態は全く違っています。

 例えば、すでに日本は貿易立国ではないとか…(GDPに占める輸出の割合は15%位)

 自民党の農協依存はもう終わっているとか…

 桃の今の生産ナンバーワンは山梨県。(私が習った頃は岡山県だったと…)

 銀行は預金を集めてお金を貸すところ、という「常識」も通用しない時代になっているのです。

 記事は、低金利下、人口減で金融機関経営のかじ取りが難しくなってきている、という趣旨のものでした。

 道内の地銀の実態は…ということで北洋銀行の平成26年9月期の貸借対照表を解りやすく表示しました。7兆3000億円近い預金のうち7割、5兆3700億円が貸出に回っているのが解ります。残りが有価証券(だいたい国債)に投資されている形です。

 北洋銀行と言うとビッセを思い浮かべますが、有形固定資産は総資産のうちの1%程度にしかすぎません。預金貸金がどれだけの量なのかがわかります。

 問題は、銀行の稼ぎの源泉だったはずの貸出金が儲からないことです。

 道内貸出金利の平均は、平成22年から26年度末にかけて1.97%から1.52%まで下がりました。低金利から低金利、という変化ですのでピンときませんが、金利を売上の単価、と考えると23%も下がったことになります。

 円滑化対応のおかげで不良債権の発生が一服しているので平穏な雰囲気が漂いますが、このあとの経営は難度を増すはずです。

 貸す先がなく、余ったお金を国債運用するパターンが続けば、

 「手間暇かけて融資をするより、だまって国債を買っておけば?」という発想になります。無理してチャレンジをし、不良債権を積み上げるよりは…。

 北洋銀行の負債と資産のイメージです。

 


 もう一つ、自己資本比率日本一の稚内信金はどうでしょう。もっとわかりやすい運用の姿が現れます。

 貸出先がない、ということがお分かりだと思います。集まった預金のうち貸し出しに回っているのは4分の1位。それを埋めるのはやはり有価証券。 

 ※稚内信金の自己資本比率は60%を超えているのでは?というご質問がでそうですが、自己資本比率は、貸付金のリスクに応じてリスクウェイトを掛けて計算していきますので貸借対照表上の金額比とは一致しません。



 ちなみに、両行の総資産の規模を視覚化するとこんな感じになります。



 北洋銀行は平成28年度までの中期経営計画で預金、貸金とも1千数百億円の積み増しを目標としています。道内の総預金、総貸金はこの5-6年ほぼ横ばいですので増加を狙う、ということは≒他行から奪う、ということになります。結果としてさらに貸出金金利は下がっていくでしょう。

 金利が上がらない理由はこちらから

 「日曜日なので本の話をしましょう


 ゼロ金利下、国債運用のみがたよりの銀行経営。銀行業は実は終焉に向かっているのかもしれません。毎年40兆円以上積み増しされる日本国債、国内で引き受けていかなければならない、という事情もあります。日本は世界初の、従来型の金融業が成り立たない国家になるかもしれません。


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