目玉焼き、黄身が二つでてきました(左側)。

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 私自身、昭和から平成にかけて銀行勤務を経験しています。退職して20年近くになります…

 私が支店で融資を担当していたころ、担当の100社弱の融資先について、財務内容や過去のイベント(「○○年前に大きな貸倒を作った」など)は大体記憶していました。

 融資の稟議書を上げると融資課長、副支店長、支店長それぞれから、的を得た質問が飛んできます。担当者として一番触れて欲しくないポイントめがけて質問が降ってきます。

 当時、規制金利下でしたから、どこの銀行から借りても利率は同じ。銀行の数も多く、厳しく競争していました。

 決算書から、「この会社は大丈夫」という論拠を拾っていきます。資料はすべて銀行側で用意していました。

 それから20年。銀行業務は大きく変わりました。

 低成長経済、デフレ経済に変わり、企業としての危機に対する耐性(内部留保)が薄くなりました。一方で資金的に銀行に依存する間接金融は不変です。結果、貸倒が増加しています。

 条件変更、という対応も増えました。条件変更すれば、経営改善計画どおりに数値が改善しているかどうか、フォローをしなければなりません。つまり、収入は変わらず、管理の手間だけが増えます。

 銀行も私企業ですのでコストを下げていかなければなりません。最大の支出項目である人件費とて例外ではありません。私が現役銀行員の頃は考えられなかった、パート勤務や中途採用はいまどこの金融機関でもやっています。

 結果として管理の手間が増えた一方、人員は減る傾向にあり、穴を埋めるのがコンピュータによる採点です。

 さきに触れた、低成長、デフレ経済、も相まって、融資を受けるための粉飾が横行しているように見えます。

 粉飾している企業の比率は数値化しようもありませんが、現在の方が高いような感じもします。銀行で融資審査をしていればおのずと粉飾のない、きれいな先を多く目にしていたと思いますし、事業再生コンサルティングを業とする今とは直接比べられませんが…

 金融庁が金融機関に求める、コンサルティング機能はなかなか定着しませんが、金融機関が生き残るためにはその機能をどれだけ装備できるかどうかがカギになります。

 20年前と今ではここまで述べたように銀行の業務は大きく変わりました。

 これから先20年を考えると、「労働力人口減少」「消滅可能性都市」「法人数の減少」「経営上のコスト増(馘首のしにくさ、最低賃金の上昇による人件費増、社会保険料増、電気料金など水道光熱費増)」によりさらに金融機関の経営環境は激変するはずです。

 現状でも預貸率が低下し、貸出先が少なくなってきている状況に拍車がかかります。預金を集めて貸し利ざやをとる、という銀行業のモデルが維持できるかどうか…?

 銀行員、昔に比べて今は…というお話しを書きたかったのですが違う展開になりました。

 金融機関の経営も岐路に立たされているのは間違いありません。

 

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