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 さて、金融庁は7月4日、「金融モニタリングレポート」を発表しました。各金融機関に対する検査や聞き取りをもとに金融機関の動向をまとめたものです。その内容は…

 「 」内はレポートからの引用です。また図表もレポートから抜粋して掲載させていただきました。


 そこから見えるものは…人口減少を見据え、金融機関として何をなすべきか、金融庁はすでにこのレポートでアラームを鳴らしています。


1.金融機関の好業績の要因

 「業務純益から債券関係損益や信用コスト12の一部(一般貸倒引当金への繰入)等を除いたコア業務純益では、貸出金利回りの低下を主因として全般に低下傾向にある。ここ数年の高い収益は、貸出金利回りの低下の影響が貸出金残高の増加によりある程度相殺される中、金利が低下局面にあったことによる債券売却益や、信用コストの低下傾向などが寄与してきたもの
といえる。」

 としています。本業の、「貸して儲ける」という部分の経営環境は低金利下、条件が厳しくなってきていますが、同じく低金利による債券売却益と金融円滑化法による償却負担減少が貢献している形です。

2.人口減少と貸出金

 「地域の企業向け貸出残高と地域の生産年齢人口との間には高い相関関係がみられることから、生産年齢人口の減少の予想を基に、各地域銀行が経営基盤としている都道府県(本店所在地)の2025 年3 月末時点での貸出市場規模を推計した。この結果、これまでの企業向け貸出と生産年齢人口動態の関係等が今後も続くと仮定すれば、いずれの地域においても、貸出残高は減少すると推計された(図表Ⅱ-2-4)。」

 図はクリックすると拡大します。



 そんな状況下、各金融機関は貸出増加を基本とする経営計画を立てている、と指摘し、「そのような計画は中長期的には成立しない可能性がある」としています。

2012年実績と2025年予想を比べると今の貸出残から10-20%減少するわけですから、年間1から1.5%ずつ貸出残が減少していくことなります。これは結構な減少率になります。

3.地域金融機関の収益性について

 「地元県で貸すより、隣県、東京圏で貸す金利が低下している。低金利で利回りが落ちる一方、予想される調達コスト、経費率をあてはめて計算すると約20%の金融機関が赤字転落すると考えられる。」

 下のグラフの左二つが赤字、となります。

 金融機関には自己資本比率に規制がかけられていますので赤字が続けばまもらなければならない自己資本比率を割り込むことにもなりかねません。

 また、赤字続きの地域金融機関に地元の方々が預金するか?というと…?

 収支トントンでも安定感、安心感としては不足、と思われますので過半の地域金融機関について連携や合併の必要があるのではないか、と筆者は感じます。

 


4.地域金融機関の貸出姿勢について

 「当局としては、2003 年の「リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラム」の公表以降、各地域銀行が地元企業に対し目利き力やコンサルティング機能を発揮し、地域の企業の再生や経営改善に貢献することにより、地域企業・経済の活性化と地域銀行の経営の安定の両立を求めてきた。多くの銀行が様々な取組みを行ってきたが、足元増加している貸出の多くは、前述のとおり、信用力の懸念が相対的に小さく融資審査にコストがかからない定型的な貸出である。また、こうした融資を含め融資審査に当たって、借手企業の財務データや担保・保証に依存する傾向が見受けられる。」

 つまり、安易な貸方に流れ、本来果たすべき役割を果たしていない、と厳しく断じています。(2003年から言っているでしょ??と)

 担保保証依存の融資姿勢については、昨年12月の「経営者保証ガイドライン」でメスを入れている形です。

 また、安易な定型的な融資依存については、融資先の再生可能性、成長可能性について各金融機関の判断を尊重する、ということに監督方針を方向転換しています。

 

 これらの指摘は普遍的で動かしがたいもの、と筆者は感じます。これをどれくらい柔軟かつ迅速に自行の経営方針に組み込めるかが次の金融機関の課題ではないか、とも考えます。

 

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