サクラサク。開花宣言がだされ、GW中には満開となるようです。

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 さて、昨日の日経新聞一面にこのような記事が掲載されました。


 「事業再生、迅速に 債権放棄全員の同意不要」


 事業再生ADR制度を対象に、それまで対象金融機関が一致して債権放棄に同意しなければならなかった条件を一部緩和する、というものです。

 事業再生ADRは金融機関の負債を対象にカットを行うものでその他の債権者は傷をつけませんので使い方によっては威力を発揮する手法です。

 しかし、コストも高くつくため(企業規模によりますが数千万円から億円単位のおカネがかかります)使えるのは大企業に限られます。制度が創設された2007年から利用例は39例にとどまる、とのことですがコストの制約も大きな要因となっているはずです。

 
 今回の改訂により、全員一致から「債権額の75%以上」に条件が下げる方向、とのことです。



 紛らわしいのですがこれとは別に「金融ADR」、というのがあります。


 金融機関とそのサービスを利用している側との間に紛争が起きた時に解決する手段です。


 実際の利用例では、「金融機関側の説明不足により不利な条件の契約を結んだ」「金融機関側が貸し手という強い立場を利用してサービスの利用を強要した」などの場合、第三者である解決委員(弁護士)が選任され、業界団体ごとに設置された紛争解決センターで和解に向けた話し合いをするものです。

 
 いままで利用例が多かったのが通貨オプション契約に関する紛争でしたがここしばらくは円安傾向もあり、一服しています。


 金融ADRは、その場で借入の返済について合意を得たり金融債権カットをするような使い方にはなじまない(他の手段を使うべき)のですが使い方によっては有効な補助ツールとなる場合もあります。


 知っておいて損はない制度です。


 金融庁による制度の解説