経営者保証ガイドラインについて、ある金融機関の方から、「こんな思いつきみたいなものを出されても…」というコメントをお聴きしました。実態はそうではないと思います。

 金融円滑化法の期限切れ前後に何があったかを時系列に並べて検証してみましょう。(画像が切れて表示されたり、小さい場合はクリックで拡大します)




 金融円滑化法は、平成24年3月末、再再延長されます。しかし、この時には「これが最後の延長である」という宣言もなされました。「円滑化法がなくなったあと、どんな着地方法を当局は考えているのか」に注目が集まりました。

 平成24年4月20日には、翌年に控えた期限切れを意識し、「これらの対策を取る」という政策パッケージが発表されました。中小企業再生支援協議会の活用、地域再生ファンドの創設、などです。しかし、これらの対策で救済される企業はごくわずか、条件変更を受けている企業の5%と試算されました。

 それを詳説した記事「条件変更を受けた会社、出口はこうなる」(2012.9.19) です。


 おそらく金融庁と中小企業庁には何か切り札になる措置を、という考えがあったのだと思います。


 そこから出てきたのが今回の「経営者保証ガイドライン」と思わるのです。

 
 平成24年、金融円滑化法の再延長はしない、と発表された後、「金融機関が条件変更に応じてくれなくなったら」という不安が中小企業の間に広まりました。

 
 金融円滑化法の期限切れ廃止と経営者保証ガイドラインの準備の様子を時系列で並べてみると、


 平成24年夏頃には、

 「金融円滑化法そのものは廃止するが、円滑化対応は維持」+「条件変更先?の経営改善を先延ばしさせず抜本的にメスを入れる方策=経営者保証ガイドラインの創設」


 という大枠が決まり、それに沿って今回の措置がなされたように思います。



 経営者保証ガイドラインは法律ではありません。GLの中にも「法的拘束力はない」という表現があります。


 しかし、各省庁を巻き込み、日弁連も動いた(「特定調停で円滑化法後の対策を」)今回の経営者保証ガイドラインは、とても思いつき、というレベルではないと思います。


 逆にポスト円滑化法の切り札、と思えるのです。







  
 

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