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帽子かぶったコンサルタント - 札幌で中小企業再生に取り組む、認定事業再生士のブログ-image


 今日は民事再生法について。

 事業再生が必要な会社もそれぞれです。私がよく言う、「困ったにもいろいろあるんですよ」という点につながります。

①自力再生が可能、だが今はおカネがきつい … 金融機関の協力を得て、返済を猶予してもらい、その間に財務体質改善 ⇒ 現状、ほとんどの中小企業がこのパターンで再生を目指しています。

②自力再生が可能だが、債務全額は返せない … 営業黒字だが少額で負債全体を返しきるのが難しいケースです。債権カットができるかどうか、がカギになりますが、金融機関が自発的に債権放棄をするケースはほとんどありません。企業側がリードする形で事業再生をしていく、となりますと勢い法的な手続きをとおして正々堂々と債権カットをする形、つまり民事再生法を利用することになります。

③自力再生は不可能 … なにか残せるもの(ブランドなど)があればスポンサーをつけて再生を目指します。「民事再生法をつかい、債務カットをしたのち営業譲渡」「単純なM&A」など手立てはさまざまです。

 民事再生法といっても万能ではありません。

 リスクとしては、

①手続き中に資金ショートを起こせばそのまま破産になる … ある程度の規模の会社であれば手続き中に新規の金融機関融資(DIPファイナンス)を受けられる可能性がありますがほとんどの会社は自己資金かスポンサーからの資金注入だのみ、となります。

②裁判所がそもそも手続きに入らない … 申立=手続き開始、ではありません。再生可能性がありそうだ、申立事由にも矛盾がない、となれば開始決定に進みますがそうでなければ手続きがそもそも開始されないケースもあります。

③再生計画が認可されるか … 合理的な計画が立てられるかどうか。計画そのものに筋が通ったものができたとしても、感情のもつれなどがあると債権者の同意を得られず、再生計画認可にならないことも。

④再生計画が通り、手続きが終了したとしてもその後の弁済ができるか … 小売業、製造業などある程度売上にメドがつく業態はまだしも、受注型の業態だと業績の振れ幅が大きく、弁済が途中で滞るケースがある。その場合は再度弁済計画を組み直すか(非常に難しい)破産に向かうことになる

 少し前の帝国データバンクの分析記事(2012.02.20帝国ニュース「北海道内の民事再生法申請企業の動向調査」)によりますと民事再生法施行から2011年末までの申請件数は330件。

 そのうち、223件が手続き終結に進んでいます。

 問題はその差、67件です。

 取下、棄却、廃止、となり、これらは破産に移行したことになります。

 事情は様々です。中でも開始決定に至らなかったものが18件あります。いわば裁判所が、「民事再生法にそぐわない」と門前払いしたもの、ということになります。

 これだけ見ても民事再生法申立=再生へ、ということではない、ということがおわかりかと思います。

 長くなりましたので次回は、民事再生法を利用できる企業の条件、ということで別に記事を書きたいと思います。



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