手袋の季節…今日も雪の予報です。

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 さて、何度か取り上げている、会社の分析手法について。

 12か月移動合計で見よ、というお話を。

 きっとみなさんは、こんなグラフをよくご覧になると思います。月別の営業利益を年別に並べたものです。これを作るには月別の試算表4年分をひっくり返して数字を拾わなければいけません。

 作っただけで、何か仕事をしたような手ごたえ、充足感を覚えると思います。

 資料にこのようなグラフがついていると、なんとなく見入ってしまいますが結局何も読み取ることはできません。

 わかりにくいのです

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 年別の決算書にはこのように出てきます。

 赤字が黒字になり、再度赤字転落した、というのがわかると思いますが…

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 実際にこの会社の営業利益はこんな風に動いています。営業利益を12か月移動合計して並べたものです。

 すると、実際に黒字転換したのは平成24年6月。同年12月には黒字幅がピークになり、その後平成25年8月に赤字転落予想となっていることがわかります。


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 もしこの会社が条件変更を受けていて銀行側が返済額増額を狙っていたとすると、

 「平成24年12月期は黒字ですから返済額を増やしてください。多少資金はありますよね?」という話をしてくると思います。

 しかし、決算書がまとまるのは平成25年2月。赤字転落寸前で資金に余裕はない時期、となります。

 それを銀行に伝えれば、

 「余裕はあるはず。ない、ということは決算は粉飾ですか?または、銀行に言えないような資金使途におカネを使ったのでは?」と的外れな詮索をされるかもしれません。

 12か月移動合計で「売上高」「部門別の売上高」「営業利益」「粗利益」「販間費」などを表示してみるとその会社さんの動向がよくわかります。

 例えば、営業黒字に転じたのは売り上げを伸ばしたから(=粗利益を増やしたから)?それともコストカットによるもの?など原因分析が容易にできます。

 決算書を何期か並べてみるのもいいのですが、あくまでも決算時点の静止画像、というイメージです。

 いろいろな会社さんの12か月移動合計分析をしてみて、あたかも「動画で見ているような」感覚に襲われます。

 よく、「最新の試算表と前年同月の試算表を持参ください」と金融機関から言われますがそれだけでは情報不足です。

 債務者の会社さんにこのような推移グラフを作成させ、提出させれば業績は一目瞭然なんですが…

 

 

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