大通り公園の噴水。今日はこの顔の通り、ちょっとコワいお話を。

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 メガバンク各行はこの24年3月期を数期ぶりの好決算で終えています。北洋銀行、北海道銀行も決算は堅調です。

 金融円滑化法により、これら金融機関において、

 「条件変更債権を正常先にとどめ置く」措置がなされています。

 単純に条件変更だけをしてしまうと、金融機関側で貸倒引当金の負担が増加し、収益が低迷するためです。

 金融円滑化法が想定外に3年以上永らえたために、本来倒産していたであろう企業も倒産しなかったばかりか正常先に紛れ込む、という事態になっているのです。

 たとえば北洋銀行単体の平成23年度決算短信では、貸倒関連費用がプラスになるという珍しい事態となっています。つまり、貸倒引当金積増や貸倒損失の計上よりも貸倒引当金の戻入金額の方が多かった、という状況なのです。

 金融円滑化法は21年12月の施行から一応の期限である平成25年3月まで、3年とすこし効力を持つことになります。金融円滑化法を利用して返済を緩めたい企業は、金融機関に対し自ら、「経営が苦しいので返済を緩めて」という申し出をすることになります。返済条件緩和を受けるためには窮境に陥った原因の分析とその原因を「こう取りのぞいていく」という詳細な改善計画を出さなければなりません。中小企業の経営はなかなか短期間では改善しませんので勢い、何回も計画を出し直したり、長期的にわたり改善の進捗状況を報告したりすることになります。

 銀行は通常もらう決算書の写しに加え、詳細な経営分析資料を得ることになります。また、計画を出すことにより、その会社の管理能力や社内の人材の良しあし、社長の手腕などをつぶさにみることになります。

「この会社を引き続き支援すべきか?」というQに対して

「この会社は回復していく底力のある会社」

「こちらの会社は分析も甘く改善が見えてこない、支援は考えないと」

という答えを容易に導ける状態にあります。

 (平成23年4月の金融庁監督指針のなかで条件変更先を①自力再生可能、②銀行が血を流しても助ける先、③廃業をアドバイスする先に分類せよ、という指導がすでになされています。このブログの関連記事はこちらから)

 つまり、銀行側は、条件変更先の選別もほぼ終えていて、かつ貸倒償却負担にも耐えられる財務的な余力を蓄えている、ということなのです。

 いきなり来年4月1日から(=金融円滑化法が切れた翌日から)手のひらは変えるのでしょうか。

 おそらく、この下半期、次の条件変更調印の際、

 「このままがんばってください」とか

 「次の条件変更はご期待に副えないと思います」など

 のほのめかしがあると思います。

 金融円滑化法後の世界がそこまで迫っているのです。