福岡市内とは思えない風景。セミナー会場から。

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 「破産手続きの中で資産隠しにあたる行為をすると詐害」という文脈で長年詐害行為をとらえていました。

 「詐害行為」という言葉も最近では使われ方が変わってきています。

 法律の専門誌、判例研究などを丹念にあたればいろいろ判例がでてくると思いますが、私が接した報道の中ではこのような例があります。

 2011年2月28日日経新聞の記事「会社分割の乱用相次ぐ」からです。(以下要旨です)

 「2月17日の福岡地裁判決で、原告であるRCCの訴えが認められ被告に6億4000万円の支払いを命じる全面原告勝訴の判決が下った…5つのパチンコ店を経営していたA社は会社を分割し、傘下のパチンコ店4つをそれぞれ新設会社に割り振り、残った1店を閉鎖した。この結果、もとのA社には無価値な資産しか残らず、もぬけの殻の状態となった。これによりA社の債権者であったRCCは債権回収不能となった。この会社分割は分割会社の経営者が新設会社に移す資産、債務などを恣意的に選別できることを悪用したもの。従来、詐害行為取消権は会社分割のような組織法上の行為には適用されないという解釈が有力だったが、詐害行為取消権の行使を認めることでこの例のような乱用的な会社分割の違法性を認定する判決が出ている」

 最近、ご相談のあった事例ですが、

 夫の借入が返済不能となった。妻との婚姻期間が20年を超えていたので贈与税法上の特例である居住用資産の贈与を使い、自宅の名義を妻に変えた。債権者は「同居している状態で贈与を受けたということは夫の財政状態も熟知していたはずで善意の第三者とは言えない」「自宅を処分すれば回収が進んでいたはず。詐害行為取消権を有するので所有権移転登記を抹消されたい」

 という請求を受けたものがありました。

 金額的には少額なのですが所有権移転登記抹消のため提訴の前段ですでに仮処分もなされ、債権者側の本気度がうかがえる事例です。

 現在準備が進んでいる民法改正の大きなポイントの一つがこの詐害行為に関する改正です。

 民法改正については改正の前段のヒアリングの段階にありますがすでに議論百出の状態でいまだ改正の方向性は見えません。

 事業再生がどんどん変わってきている好例です。