先日訪れた福岡市。川岸に天神の屋台街を望む。

帽子のターンアラウンドマネージャー札幌を行く - 認定事業再生士のブログ


 さて、金融円滑化法の期限切れまで1年を切りました。昨年末に「1年延長」する方針が早々と打ち出されましたが、同時に「再延長はしない」という方針も発表されています。平成25年3月末で金融円滑化法は消滅することになります。

 ただし、その前までに条件変更について金融機関団と合意したものについてはその期限は有効です。例えば平成25年9月まで元金返済棚上げ、という合意を結んでいれば、「円滑化法が3月で切れたから4月から返済再開せよ」ということにはなりません。専門用語では「期限の利益を与える」といいますが、「9月まで」の期限で条件変更をもらえばその手前で「やっぱりやめましょう」ということは言われません。(※破産申立などの限られた条件がそろわないと期限の利益はなくなりません)

 さて、銀行に提出する事業改善計画は5年から10年のスパンで提出します。

 そこでよく聞かれるのは、

 「じゃあ、10年しないと正常先に戻れないんでしょうか?」ということです。

 実態的には計画通り改善が進捗して2-3年経てば、銀行側から

 「ニューマネー(もちろん正常分類となる貸金として実行)を出しますのでこれで旧債務を一括弁済しましょう」「そして正常化しましょう」

 と提案してくれるはずです。

 銀行側としても要管理区分から正常先に戻ってくれれば管理負担も減りますしニーズに応じて新規貸し出しもできます。

 そこで重要になってくるのが出口戦略です。

 どんなスキームで出口融資を確保するのか。

 既存行が協力してくれるのか、新しい銀行を探すのか。

 条件変更先からの脱却イメージは、

① 十分なCFが出ていて元の返済条件に戻れる…そのまま正常化へ

② この2-3年、まずまず計画通りに事業改善してきた。このままだと数年先に正常化できる見込み…先にご説明した出口融資を模索

③ CFは出ているが負債総額と比べると完済まで25年以上かかる…企業の実力に比べ借入が多すぎる、ということなので民事再生法を軸に債務カットを模索

④ CF赤字が続いている 破産、廃業、救済型M&Aによる身売りを検討

 という感じになると思います。

 この9月以降、銀行側も水面下で条件変更を許容している先について「助ける」「助けない」という分類を厳密にし始めるはずです。借り手側も自社の立場を考えつつ、先に挙げた4分類のうちどれに該当するのかを検討し、対処を考える時期に差し掛かっていると思います。

 出口融資については、正常先として融資してもらう正攻法や、事業再生保証や劣後ローンなど再生フェーズでないと使えない手法を検討するなどいろいろ手があります。

 出口戦略についてでした。