バオバブの鉢植えは…

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 どんどん伸びまして…

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 身長50センチを超えたんじゃないでしょうか。このまま伸ばしっぱなしでいいんでしょうか。おととしに買ってずっと葉っぱ5-6枚の時期が続いたのですが日に当てて水をふんだんにあげると伸びる伸びる…

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 さて、今日は北海道の金融機関についてです。

 実際に細かく見て行く前におさらいですが、日本は間接金融の国です。

 個人が預金したおカネを銀行が取りまとめ産業界に還流させることでおカネが循環していく仕組みです。日本の中小企業は創業時には国民金融公庫(現日本公庫)の創業融資のお世話になり、業績が伸びてくれば保証協会付の融資を受け…という形で金融機関と二人三脚で会社を大きくしていったのです。
高度成長期には主な担保である不動産価格も上昇しましたし、中小企業の業績も右肩上がりでした。この時代には借り手は山ほどいましたし、貸倒れも少ない時代でしたので銀行の主要な仕事は預金集めでした。

 しかし、今はデフレ不況が長く続いている状況です。デフレですので昨年より今年、今年より来年、と元金返済負担はどんどん重くなっていくことになります。不況続きですので中小企業としても儲かりにくく利益の蓄積がなかなか進みません。借入返済も往々にして「少し返してはまた借りて…」の繰り返しになります。そして何かあったときの抵抗力も弱まっていますので大きな金額の焦げ付きがでたりすると、こらえきれず倒産につながるケースが多くなっています。

 これは金融機関の経営にも大きな影響を与えています。一番大きなインパクトがあるのは、デフレとセットになっている、低金利でしょう。私が新入社員として銀行に入った昭和60年、貸付のレートは6-7%だったと記憶していますので同じ規模の貸出をキープしたとすれば一般企業の売上に当たる利息収入は3分の1に減少していることになります。銀行にとっても現代は利益の出にくい時代なのです。

 一方、先に書いたように貸出先が倒産・廃業するケースは増加していますので昔より貸倒れに見舞われる確率もぐんと上昇しています。ここでモノを言うのが金融機関の規模です。メガバンクのように貸出金数十兆円、年間収益1兆円、という規模であれば少々中小企業向けの貸出しが焦げ付いても銀行全体の収益を揺るがすほどのものにはなりません。利益は薄くても大量に貸すことで貸倒負担に見合う収益が上がってくるからです。

 地域銀行はどうでしょう?年間収益で数百億円規模ですのでメガバンクほどではないですが多少の償却余力はあります。ところが信金レベルですと年間収益は数十億円から数億円。少し大口の貸し倒れが出れば赤字転落してしまう規模です。信金からすれば、地元の優良企業をがっちり抱え込み、高めの金利をもらいながらなんとか自社の経営を安定させていきたいところでしょう。信組はもう一段規模が小さいためさらにかじ取りが非常に難しくなります。

 この2年間で道内の金利は下がっています(北海道財務局統計)。「銀行」はメガバンクと地銀合わせた数字となっています。

 業態別平均貸出金利は
    21年9月 23年11月   減少幅
銀行   1.883% 1.654%   -0.229%
信用金庫   2.388% 2.182%   -0.206%
信用組合   3.226% 2.961%   -0.265%
総平均   2.044% 1.814%   -0.230%

 各業態ともほぼ同じ下げ幅となっており、激しい金利引下げ競争があったことをにおわせます。

 さらに同じ時期の各業態の貸出金額をみてみますと、

 業態別貸出額
   21年9月        23年11月 増減 増減率
銀行    9兆2255億円     9兆4078億円   +1823億円 101.98%
信用金庫    3兆0777億円     2兆9791億円   △986億円 96.80%
信用金庫      3569億円       3403億円   △166億円 95.35%
合計    12兆6602億円     12兆7273億円   +671億円 100.53%

 銀行の独り勝ち、という感じになります。

 各業態とも金利引き下げ競争を行いましたが「広く薄く」貸せる銀行に分があり、銀行は低金利を武器に信金・信組の顧客を奪いつつある形です。金利負担が減るのは借り手としては喜ばしい傾向ですが少し細かい目で見て行きますと、


①金利引下競争の対象になっている企業は一握りの優良企業のみ
②それ以外の中小企業は本コラムでも指摘した通り保証協会の保証も付きにくく、新規の資金調達が困難になりつつある
③円滑化法による返済猶予を受ければ資金繰りは一服するが正常先として低金利のメリットを享受するレベルに復活するのは非常に困難

 ということで低金利貸出競争のメリットを享受できるのはごく一部の企業ということになります。

 大事なことですが信金、信組の目先の金利が高いから、といって借入がどんどん銀行にスイッチしてしまえば最後にはこれら地域金融機関が立ちゆかなくなります。信金・信組が消滅すればそのしっぺ返しは結局地域の中小企業に返ってくることになるのです。業態は違いますが拓銀消滅を目の前で見た北海道企業なら想像ができるのではないでしょうか。自分たちの会社の経営もさることながら、おらが地域の金融機関を守る、という意識も必要になる時代なのかも知れません。