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帽子のターンアラウンドマネージャー札幌を行く - 認定事業再生士のブログ


 さて、中小企業の事業再生について大きな話題から小ネタまで網羅する、このブログですが、今日は、

 「条件変更の依頼をし、金融機関側が審議の途中の段階で間違って約定返済額が引き落とされた場合」の対処方法です。

 条件変更の申し入れをするときには、本当は、申入書や経営改善計画、返済計画などを同時に提出しなければなりません。実務上は、時間がなく、「とりあえず申入書のみ提出」「後日詳しい計画などを提出」というケースがほとんどです。

 ということは申入れから条件変更にしっかりサインするまでの間、「約定返済をしない」ことが重要になってきます。

 もし、複数行の取引があり、特定の金融機関分の返済だけしてしまったら、他行も「ウチの分も返して下さい」と言ってきます。当り前ですが。

 しかし、実務上、返済をしなければ事務上は「延滞」という扱いになります。その状態で返済額以上の入金があり、一瞬でも残高が上がてしまうと、その瞬間に引き落とされてしまうことが多いのです。金融機関側から、

 「残高を置かないようにして下さい」と言われることが多いのですが、それは、

 「残高がなければ引落ができない」からにすぎません。

 売掛金の回収口座と返済口座が同じ場合など一瞬残高が上がって引き落とされるということが起こりがちです。本当は、もう一つ普通預金を作っておき、返済用の口座と売上回収を受ける口座を別にする、などの準備が必要です。

 もし、引き落とされてしまった場合はどうしましょう?

1.日本政策金融公庫さんの引落の場合は、「全行一斉に条件変更するので」という事情をきちんと説明すれば返金に応じてくれます。

2.民間金融機関も「絶対」とは言えませんが一旦引き落としたものについて返金に応じる(引落の取り消しをする)対応をしてくれるところが多いと思います。

3.仮に、「一度落ちたものは返せない」ということである金融機関だけ1回分返済が進んだ場合には、条件変更の中の返済計画で各行のシェアを計算し、弁済金額を算定する中で、その金融機関のみ、1回分の元金に「充るまで」返済を止め、全体の返済金額を調整することになります。

 引き落とされた元金の取り扱いについては、2年前から1年前位までは、

 「落ちたものは返せませんね」という反応でしたが、この1年ほどで、

 「あきらかに条件変更の申入れ後の引落」ということについて金融機関側が理解をしてくれれば返金に応じるようになってきています。

 話戻って残高を置かないことで引落されないようにする場合、リース料や社会保険料などの引落も残高不足で出来ないケースが出てきます。その場合は、遅れた分を別途振込票や送金で払うことになります。

 事業再生、日進月歩です。