先日のお伊勢参りの帰りに買ってきた「ゆかり」。おいしいえびせんです。

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 さて、会計事務所で10年働いた経験を踏まえて、会計事務所と事業再生の関係についてちょっと書きます。

 実は会計事務所の提供するサービスと顧客の求めるものはすれ違っています。顧客が求めるものは、「カネ」についての情報です。

 経営者が取り組んでいるのは「商売」です。カネをいかに「稼ぎ」「残すか」が大命題です。それに対し、会計事務所が提供できるサービスは税務会計です。

 経営者側は、税務調査対策もあるししょうがない、会計事務所を入れておくか、という感覚になりますし、会計事務所側は、「こんなにサービスしているのに感謝されない」ということになります。

 月額数千円の違いで安い事務所に関与移行したりするのはこの辺が原因です。

 弊社を設立してからだんだん税理士会のセミナーに呼ばれるようになったころ、「事業再生はこんなようなものです!(いきなり)やってみませんか」という話かたをしてしまっていましたが、よく考えてみると、

 事業再生は会計事務所繁栄のためのツールである、と考え始めました。

 段階を追っていきますと、入口は他の会計事務所が持たない、専門知識を持つ、というところからだと思います。

 弊社の持っているコンテンツでいうと、

「会社が資金に詰まったときにどうなっていくのか」(銀行の回収手順、など)
「銀行対応完全マニュアル」(銀行は何をみて貸すのか、など)
「中小企業の事業承継」(承継と再生は実は同根の問題)
「中小企業の資金繰り」(資金調達テクニックとしてはどのようなものがあるか)

 これらの内容を学習しておけば、『大丈夫です、次はこうなります』と顧客に教えることができます。一度覚えてしまえば、それを説明するだけで顧客を安心させることができます。

 事業再生に関していうと、「期限の利益喪失」「抵当権の実行」「保証協会の代位弁済」などについては一度聞けば解る、というものではなく、顧客の求めに応じて何度も説明をする必要があります。噛み砕いた内容で何度もゆっくりお話しすることでお客様の評価はぐっと上がります。

 また、連帯保証や震災特別保証など、中小企業をとりまくカネの情報はどんどん内容が変わっていきます。この部分の最新情報を提供することでも十分な差別化ができます。

 だんだん慣れてくれば、Q&Aテクニック、ブレインストーミング、を通じて経営アドバイスの領域に手が届くようになります。

 このプロセスを通じて、会計事務所として差別化をし、顧客を囲い込むことが可能になります。 

 一方、この分野をスル―してしまうと、

 「こんなに困っているのにウチの先生は何もしてくれない」ということになり、関与移行予備軍となっていきます。

 弊社が会計事務所研修会に注力するのはこのような背景があるのです。