以下、「帝国データバンク」社の速報からの引用です。
「北海道」 ファーマーズジャパン(株)(資本金8000万円、札幌市清田区里塚2条2-5-15、登記面=浦河郡浦河町荻伏町492-1、代表岸晃弘氏、従業員36名)は、3月10日に札幌地裁へ民事再生法の適用を申請した。(中略)
当社は、1991年(平成3年)7月に設立された食肉卸業者。豚肉や牛肉の輸入・加工販売を主体とするほか、国産肉の販売、コロッケなどの総菜加工・販売も手がけ、恵庭工場や東京営業所を開設して業容を拡大、ピーク時の2007年6月期には輸入豚肉の原料売買が膨らみ、前期比56.5%増の年売上高約171億900万円を公表していた。
また2007年3月には東京営業所を別会社として分離、輸入食肉の扱いを同社に徐々に移管し、当社は国内産肉の加工・販売にシフトしていた。
しかし、円安時に為替のデリバティブ取引を契約していたため、近年の円高の進行に伴って為替差損が発生。会社公表ベースで2010年6月期は年売上高約124億5200万円に対し当期純利益は410万円と、減収減益決算を余儀なくされていた。その後も円高による多額の為替差損が発生し、収益面で苦戦を強いられ資金繰りは悪化していた。
こうしたなか、取引先に対する支払いに遅延が生じ、今年2月には取引先から売掛債権の差し押さえを受けるなど資金繰りの悪化が表面化して信用不安が拡大。決算の粉飾もあって先行きの見通しも立たなくなったことから、今回の措置となった。
負債は約30億円の見込み。 (引用終わり)
円高によりオプション契約による為替差損が発生する、そこまでは契約を抱えている会社に共通して起こることです。しかし、この先の対処方法は千差万別です。思いつくままに列挙します。
1.決済日ごとに差損分の資金流出が起きることに企業体力がついていかない。資金ショートする。⇒資金ショートを回避するために解約を検討します。解約金相当額については銀行融資でつなぐパターンです。
2.差損分の資金流出には耐えられるがバランスシートが傷んでいく(過去積み上げた未処分利益が為替差損によりどんどん減っていく)。⇒差損対策をしながら本業の収益力アップを図る。差損対策としては為替相場感にしたがって全部解約か一部解約か、などを考えていく。
ファ社の場合は、為替差損による資金流出に耐えられず、銀行との契約解約の交渉も間に合わなかったのではないか、と推測します。オプション契約前はそこそこの財務体質だったと思います。(皮肉なことに、オプション契約はある程度財務体質のよい企業にのみ売られています)それが円高の進行とともに差損の幅が広がり、それを覆い隠すために粉飾をし…という苦渋の経営判断が透けて見えるように思います。
3.ファ社のようにオプション関連の損失も含めて民事再生法により債務をカットし再生の道筋を探るパターン。損失をきれいに処理できるということはメリットです。民事再生法適用申請をする場合の一般的な留意事項として、「取引先が取引を継続してくれるか」という点が成否を分けることになります。特に仕入先は民事再生法により債権のカットをされているはずで、「『再生に協力してくれ』という趣旨は解るが損をさせられた上に取引を継続せよ、というのは心情的には…」という反応にならないとも限りません。
4.オプション損失に耐えられない、と思えば、その会社は破産させ、営業を別会社に移して…という「第二会社方式」も頭をよぎりますが安易に行えば銀行をはじめとする債権者から「詐害行為」(本来なら価値のある営業権をよく議論しないうちに新会社に移し、旧会社の債務の回収を結果として妨害した)として責任を追及されるリスクが発生します。
このほか、銀行団にすでに返済猶予を求めている状態でオプション損失が発生した、など損失を抱える会社の状況は千差万別で、「一般的には…」というアプローチでは解決できません。一社一社オーダーメイドで対策を立てていくことになるのです。
「北海道」 ファーマーズジャパン(株)(資本金8000万円、札幌市清田区里塚2条2-5-15、登記面=浦河郡浦河町荻伏町492-1、代表岸晃弘氏、従業員36名)は、3月10日に札幌地裁へ民事再生法の適用を申請した。(中略)
当社は、1991年(平成3年)7月に設立された食肉卸業者。豚肉や牛肉の輸入・加工販売を主体とするほか、国産肉の販売、コロッケなどの総菜加工・販売も手がけ、恵庭工場や東京営業所を開設して業容を拡大、ピーク時の2007年6月期には輸入豚肉の原料売買が膨らみ、前期比56.5%増の年売上高約171億900万円を公表していた。
また2007年3月には東京営業所を別会社として分離、輸入食肉の扱いを同社に徐々に移管し、当社は国内産肉の加工・販売にシフトしていた。
しかし、円安時に為替のデリバティブ取引を契約していたため、近年の円高の進行に伴って為替差損が発生。会社公表ベースで2010年6月期は年売上高約124億5200万円に対し当期純利益は410万円と、減収減益決算を余儀なくされていた。その後も円高による多額の為替差損が発生し、収益面で苦戦を強いられ資金繰りは悪化していた。
こうしたなか、取引先に対する支払いに遅延が生じ、今年2月には取引先から売掛債権の差し押さえを受けるなど資金繰りの悪化が表面化して信用不安が拡大。決算の粉飾もあって先行きの見通しも立たなくなったことから、今回の措置となった。
負債は約30億円の見込み。 (引用終わり)
円高によりオプション契約による為替差損が発生する、そこまでは契約を抱えている会社に共通して起こることです。しかし、この先の対処方法は千差万別です。思いつくままに列挙します。
1.決済日ごとに差損分の資金流出が起きることに企業体力がついていかない。資金ショートする。⇒資金ショートを回避するために解約を検討します。解約金相当額については銀行融資でつなぐパターンです。
2.差損分の資金流出には耐えられるがバランスシートが傷んでいく(過去積み上げた未処分利益が為替差損によりどんどん減っていく)。⇒差損対策をしながら本業の収益力アップを図る。差損対策としては為替相場感にしたがって全部解約か一部解約か、などを考えていく。
ファ社の場合は、為替差損による資金流出に耐えられず、銀行との契約解約の交渉も間に合わなかったのではないか、と推測します。オプション契約前はそこそこの財務体質だったと思います。(皮肉なことに、オプション契約はある程度財務体質のよい企業にのみ売られています)それが円高の進行とともに差損の幅が広がり、それを覆い隠すために粉飾をし…という苦渋の経営判断が透けて見えるように思います。
3.ファ社のようにオプション関連の損失も含めて民事再生法により債務をカットし再生の道筋を探るパターン。損失をきれいに処理できるということはメリットです。民事再生法適用申請をする場合の一般的な留意事項として、「取引先が取引を継続してくれるか」という点が成否を分けることになります。特に仕入先は民事再生法により債権のカットをされているはずで、「『再生に協力してくれ』という趣旨は解るが損をさせられた上に取引を継続せよ、というのは心情的には…」という反応にならないとも限りません。
4.オプション損失に耐えられない、と思えば、その会社は破産させ、営業を別会社に移して…という「第二会社方式」も頭をよぎりますが安易に行えば銀行をはじめとする債権者から「詐害行為」(本来なら価値のある営業権をよく議論しないうちに新会社に移し、旧会社の債務の回収を結果として妨害した)として責任を追及されるリスクが発生します。
このほか、銀行団にすでに返済猶予を求めている状態でオプション損失が発生した、など損失を抱える会社の状況は千差万別で、「一般的には…」というアプローチでは解決できません。一社一社オーダーメイドで対策を立てていくことになるのです。