先日の初雪の後、通りかかった大通公園で。

 10月の雪ですから緑みどりした芝生や紅葉した落ち葉と雪のコントラストが美しい。

帽子のターンアラウンドマネージャー札幌を行く - 認定事業再生士のブログ-雪の朝


 さて、今日は破産のお話です。

 以前書いたように破産は再生の基本です。その意味は常に、

 「破産するよりは…」という比較対象となるからです。再生案を書いたとしても債権者の回収(予定)額が破産の予想配当より低くなるのであれば意味はありません。

 債権者により、この破産に対する姿勢が変わります。

 今日は金融機関のみに絞って書きますが、通常借入が返ってこない、となればいずれは貸倒損失を計上して資産から落とす、いわゆる「償却」という処理に進みます。

 金融機関の収益構造がどうなっているか、というと、

 たとえば1億円を2%で貸したとします。利息収入は年2百万円になります。しかしこれには原価がかかっています。預金につける利息やインターバンク市場で資金調達したときの利息です。ほとんど0に近いですが…

 この1億円を借りている先が業績不調に陥り、返済の延滞が始まったとします。

 金融機関側では、債務者区分を下げ、担保や保証でカバーされていない部分について「返ってこないかも」ということであらかじめ貸倒引当金を積み増すことになります。

 ここでは話を単純にするために保証も担保もない、とします。この貸金について正常先であればほとんど引当金を積む必要はありません。しかし、仮に5%を引き当てたとすると、

 2百万円(利息収入)-5百万円(引当損) = △3百万円 となり、この取引はあっという間に赤字になります。

 通常金融機関の「支店」が年間で計上する利益は数千万円程度ですので一億円の貸金について引当を積んでいくのは非常に苦しい選択になります。

 「きちんとした再生計画があれば評価を下げなくてもいい」という救済措置があります。ここがコンサルタントや中小企業再生士、税理士など専門職の腕の見せ所となります。(円滑化法があるので「返済を止めてくれ」と言っても通りますがこの理由により、きちんとした再生計画作成の必要が出てきます。再生計画を提出できなければ、「返済再開できなければ期限の利益喪失」に進みます。という流れになります)

 ここで借り手企業が「資金が続かない。破産に進もう」としたらどうでしょうか。

 だんだん債務者区分が落ちていくのではなく、いきなり実質破たん先へ3段階落ちになります。30~50%の引当をいきなり積まなければならなくなるのです。

 金融機関からも、「破産と比べて」という視点が非常に重要になるのです。

体力のある大手行はともかく、小規模な金融機関になればなるほど償却負担を分散したい(ある程度の期間を掛けて引き当てを積みたい)という事情があるのです。

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