リスケジュールの中で保証協会付きの部分をどのように調整するか、が話題になっています。

 例

 A銀行 不動産担保付 6000万円 保証協会付1000万円 プロパー(信用貸) 3000万円 計1億円

 B銀行 不動産担保付 2000万円 保証協会付6000万円 プロパー(信用貸) 1000万円 計1億円

 という借入構成だとして、長期短期が入り混じっているケースでは返済原資を「残高按分(プロラタ)で」というリスケプランを立てることがあります。

 上記のケースでは、

①表面残高では

 A銀行 1億円

 B銀行 1億円

 ですので表面残プロラタですと返済原資を50%ずつ分け合うことになります。

②次に不動産担保を除いた無担保プロラタ、となりますと、

 A銀行 1億円―6000万円=4000万円

 B銀行 1億円―2000万円=8000万円

 となり、B銀行はA銀行より50%多い弁済を受けられることになります。

 この考え方のキモは、「リスケ途中で債務者企業が破たんした場合でも担保不動産を売却すればその部分は回収できるはず。それ以外の部分を均等に弁済していかないと本当の意味で公平な返済にならない」というものです。

 では、銀行からみて保全されているから、という意味で保証協会付きの部分まで按分計算のベースからのぞいてしまった場合はどうでしょう?

③保証協会付まで控除した場合のプロラタ

 A銀行 1億円―6000万円―1000万円=3000万円

 B銀行 1億円―2000万円―6000万円=2000万円

 今度はA銀行の方が多く弁済を受けられます。

 しかし、です。

 先ほどと同じように「リスケ途中で債務者企業が破たんした場合」どうなるでしょうか。

 担保不動産を売ればその金額を回収できるのは同じです。銀行から見て保証協会付の部分が代位弁済請求できるのも確かです。(話を簡単にするために上記のケースでは100%保証として計算しています)

 しかし、保証協会付の債務については債権者が銀行から保証協会に変わるだけで債務そのものが消えてなくなるわけではありません。

 保証協会の目線でいえば、②「無担保プロラタ」でいえば、A/B銀行合わせて、1億2000万円の債務のうち保証協会付は8000万円ですのでその分、事故があった場合のリスクが早く減っていくことになります。

 ところが③の保証協会除くプロラタまで行くと、保証協会の債権に対する弁済がない前提でのプランになりますのでリスケジュールには応じられない、という対応になります。

 リスケジュールには保証をしている保証協会の承諾ももちろん必要になりますので③方式でプランを立てると保証協会の承諾が得られず、実質的にリスケをスタートできないことになります。

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