先日ある会計事務所時代のお客様から、「ブログ見たよ」と連絡があった。「コーヒーカップをじゃぶじゃぶ洗ってるって書いてあったけどトイレ掃除はしているの?」

 自らの姿勢をただし、経営改善のための気づきのきっかけにするため、トイレ掃除を自ら励行している社長さんがいる。イエローハットの鍵山社長である。(「小さな実践の一歩から」致知出版、2002年、\1260)

 きっと何かの折に私がそのお話をしたのだろう。この間「真夏の怪・コンサルタント殺し」(平成19年7月28日掲載)で書いたばかりなのに。私、見事に殺されました。

 今日はコンサルタントとしてどういう知識を底に置くか、というお話。

 地球温暖化に関して「不都合な事実」という本や映画がヒットした。しかし人類の未来は平均気温だけでは決まらない。実はもっと深刻で複雑な状況がある。

 1970年、今を去ること37年前。世界の科学者たちが共同して「成長の限界」という本を出版した。昭和45年。高度成長期にあった日本をはじめ先進国各国が順調な成長を謳歌していた頃だった。この本は幾何級数的に増加していく世界人口とそれに伴う資源消費の増加を冷静に分析し、「このままだと21世紀中に人類は成長の限界に達する」と予測した。(その本がいま手元にあるが、非常に正確な予測を行っているのに驚かされる。)
 
 2005年、この本の続編というべき本が出版された。「成長の限界 人類の選択」(ダイヤモンド社刊、メドウズほか著、2,400円+税)である。
 結論を書いてしまうと、「2060-2080年には世界は工業生産、一人当りの財(≒豊かさ)、人口そのものが上限につきあたり、その後の人類は人口を含めゆっくりと退潮に向う」。
 「そんなぁ」と思いたいのが人情だ。特に今20代くらいの方は高い確率でその現場に立ち会うことになるのだからなおさらだ。

 しかも、このシュミュレーションは前提を入れ替えても答えはほぼ同じになる。たとえば、穀物の確保を最重要項目にもってきても早晩、農地の供給や、水の供給が追い付かなくなる。「じゃあ、魚は」と思ってもこちらもすぐに船の燃料につかう重油の供給の問題などが起こる。なにをどうしても結論はほぼ同じところに落ち着く。

 経営コンサルタント的には向こう20-30年の間にかなりのスピードで厳格なエコ社会に移行すると予想する。

 人類は愚かだが、来年資源が無くなるのが分かっていて今年の終わりまで同じペースの消費を続けるほどバカではないはずだ。このままいけば2060年頃資源が枯渇する、とわかっていればその手前で新しい資源の消費を抑え、いままで使ったもののリサイクルを始めるだろう。20年手前だと2040年。30年手前だと2030年。この年をめがけて「自然に負担をかけないモデル」の構築が生活面でも企業活動面でも最重要項目になってくる。儲かればいい、再生すればいい、というのは中小企業レベルでも通じなくなってくるはずだ。

 また、最低限の資源や財が人類全員にいきわたるかどうかという状況では貧富の差は縮小していかざるを得ない。一人の大金持ちが生きていくために百万人が飢えに直面するようではその社会は長続きできない。限りある資源をみんなで分け合い、皆で手をつなぎながら静かに平和に生きていくモデル以外には人類は生存し続けられないだろう。

 それにつれ企業の活動も自分の利益だけでなく、「自分も儲かるがあなたも潤う」というビジネスモデルになっていくはずだ。
 
 温暖化をはじめ、世界はハードな問題に直面している。ただし希望がないわけではない。一例がフロンガスとオゾン層破壊の関係だ。フロンガス規制に世界中が真剣に取り組んだおかげでオゾン層破壊が止まり、危機は回避されたのだから。

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