本棚とロブ ちょっと前に使った画像です。本棚の下の段に表紙をこちらに向けて写っている本があります。

 「宿澤広朗 運を支配した男」という本です。

 宿澤氏は住友銀行(現三井住友銀行)とラガーマンの二束のわらじを履いたことで有名です。

 早稲田大学ラグビー部時代は2年、3年次に社会人チームを破って二年連続日本一となりました。ポジションはチームの司令塔であるスクラムハーフ。

 大学3年のとき、日本選手権決勝のラストワンプレーで「ありえない転がり方」をしたボールを早稲田選手がキャッチし逆転につなげたことについて、「偶然」だとか「スーパープレイ」という表現を嫌い、

「そのボールを取る人間が、良いタイミングで走り、良いポジションに位置する事は、誰にでも出来る事ではなく、それは練習によってのみ、なし遂げられるのである。たったあの一度の場面のために、1年間練習したと言っても決して過言ではあるまい」とコメントを残しています。

 現役引退後、銀行でキャリアを重ねながらラグビー日本代表の監督を務めることになります。

 ここで必ず出てくるのが1989年の対スコットランド戦の勝利です。ラグビー界最高レベルの大会である5カ国対抗(2000年以降はイタリアを加えて6各国対抗)の出場国に対する史上唯一の勝利として知られています。

 このとき、宿澤氏は冷静な相手の戦力分析から緻密なゲームプランを立てその通りに勝利したのでした。氏はラグビーでもビジネスでも与えられたチームから最大限の力を引き出して「結果」に結びつけることにかけて異能というべき手腕を発揮します。

 氏は心筋梗塞で急逝します。まだ55歳でした。銀行では将来の頭取と目されていた中で早すぎた死でした。

 氏とは、住友銀行時代に一度だけお会いしたことがあります。年譜を見ながら記憶をたどるとおそらく氏が資金為替部勤務だった頃だと思います。スペインに研修に出るとき、同じ部にいた同期に挨拶に行ったところ、「宿澤さんに会っていく?」という感じでご挨拶だけさせていただきました。

 この本にも出てくるのですが宿澤氏は人見知りでそのときも「オレ、見世物じゃないんだよぉ」という感じで照れ笑いをされながらご挨拶をされていたのが今でも印象に残っています。


加藤 仁 / 講談社(2007/06/02)
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 この本はきちんとした取材に基づいて精密に書かれたノンフィクションです。私が四の五の言うよりは一読いただいた方がずっといいと思います。表紙に強い印象を受けたせいか、何かモノクロームの映画を見終わったような読後感を受けました。
 
 お正月、ラグビーシーズンたけなわな中、小室雄次さんのブログを読んで、この記事を書きました。

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