過去、このブログで「ハゲタカ」も「ドラゴン桜」も遅れ気味でご紹介しましたが、この本は間に合いましたでしょうか?

 平成20年2月9日の映画公開に間に合ったので今回はセーフ、でしょうか。



 あちこちの本屋さんやキオスクなどで頻繁に見かけるものでとうとう買ってしまいました。

 難度の高い心臓手術、「バチスタ」を専門に行うスター医師とそのチーム。奇跡の26連続成功から一転して3例連続の術中死を起こします。医療事故か、殺人か?そして犯人は…?という迫力満点のミステリーです。
 
 作者が現役の医師だというのは本作に出てくる大学病院の人事や心臓手術の描写をみればうなずけます。

 出色なのは登場人物の個性が見事に書き分けられていて映像を追うようにどんどん読めること。文体やメタファーなどぼきぼきしたところは散見されますがそれを補って余りある、いわゆる「キャラが立っている」状態です。

主役の白鳥技官、小説では麺類好きの小太り・相手の気分を全く忖度しないロジックモンスターという設定でしたが映画では阿部寛さんが演じます。体格は設定と違うけどはまり役になると思います。

 一読した印象ではすごく書きなれた人のように思えますが実は作者の海堂尊氏のデビュー作というのが驚き。年齢は46歳で私より一コ上。

 で、海堂さんが書いたノンフィクションがこれ。しかもブルーバックスです。


海堂 尊 / 講談社(2007/11/21)
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 現在、きちんと解剖に回る遺体が減少していて、簡単な検死で済ませられてしまう傾向にあるので、

 「犯罪が表ざたにならず闇に葬られる」(大相撲の「かわいがり」による若い弟子の死も当初は事故死扱いされましたね)

 「死因がきちんと特定されないので疫学的にある病気が増えているのか減っているのかわからなくなる」
 
 「統計数値のベースがそろわず過去比較できなくなる」

 などの影響があるそうです。

 この本では「チームバチスタの栄光」などに出てくる、白鳥技官が語る、という形式になっています。(ブルーバックスで作者がペンネーム、架空の人物に語らせる、というのは今までにない形式です)

 ミステリーなんていい加減書きつくされているように思う分野ですが、年々、すごい人って出てくるんですね…


 
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