今日はアメリカきってのバイオリニスト、ジョシュア・ベルについて。先日TMAコンベンションでボストンに行った際、ミュージックショップを探してCDを買ってきました。
聞いてみると豊かに鳴るバイオリン(中音域はチェロかと思うほど)、すばらしい表現力とテクニック。さすが使っているバイオリンがストラディバリウス!聞き惚れる、というのはこのことか。
なぜジョシュア・ベルを知ったかというと…
ある記事を読んだことからでした。
ジョシュア・ベルはある実験にチャレンジしたことがあります。
それは…
地下鉄の乗り換え通路でストリートパフォーマーとして45分間の演奏をすることでした。
帽子を目深にかぶり、コインを受けるため、帽子をひっくり返して自分の前に置き、演奏を始めると…
まったく気にかける人がいない。
その時間帯に1400人以上の人が通りかかり、お金を帽子に投げ込んだ人は40人ほど。1分以上足を止めた人は20人。
足を止めた人について、後ほど聞き取り調査をしたところ、ジョシュア・ベルだと解って聞いていた人はわずか1人。
ほとんどの人は一瞥もくれないまま通り過ぎていったといいます。
45分間で帽子に投げ入れられたお金は30ドルほど。
ジョシュア・ベルは実験終了後の感想として、
「すごく奇妙な経験だった。あんなにたくさんの人の前で演奏したのに、僕はなんでもなく、誰でもない、全く無視されたというのか…まあ、45分間で30ドルなら悪くはないけど」
この実験を実行したのはワシントンポスト紙。(私が記事を読んだのはそれを転載した「クーリエジャパン」誌でした)企画当初は人だかりができて通行に支障がでるのでは、ということで相当数の警備員をつけることも検討されたといいますが要らぬ心配になってしまったわけです。
通行人のほか、その通路でニューススタンドや靴磨きをしている人たちに感想を聞くと、
「いつもなら商売の邪魔になるからすぐ係員に『やめさせろ』とねじこむんだがあの人の音は違った。とりあえず聞いていたいと思った」と述べていることが救いでしょうか。
この実験でわかることは、
「人は認識したことしか理解できない」
「人は無意識のうちに理解しよう、見ようとする範囲を狭く限定している」
ということ。
こんなにすごい音楽なのに…、とジョシュア・ベルを聞きながら思うのでした。
私も何か大事なものを見過ごしたり聞き逃したりしているのではないか、と。
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筆者山崎誠の経営する事業再生専門コンサルティング会社
株式会社 スター・ターンアラウンド・パートナーズ
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