出張の間、読んでみました。


細野 祐二 / 日経BP社(2007/11/15)
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 大著ですが、「日本の司法とは?」「法の正義とは?」というポイントにずばり切り込んでいる本です。

 日本の刑事事件、検察の告発にあうと99.9%が有罪。しかし、検察庁のとる手口とは、「まず罪状ありき」「被告が複数いる時には一番弱そうな人を責め」「検察のシナリオに従った自白調書を作り」「それを積み重ねて犯罪を構成、起訴へ」というもの。

 この本では、シロアリ駆除のキャッツ社のケースが背景になっていますが、

 「株価操縦をした」→「仕手筋とかかわりがあったのは確かだが、株の回収を主眼としたため、経営陣が高値づかみして安値で売った。要するに一般投資家はかえって儲けている」

 「実態のない資産を計上しており粉飾決算をしている」→「カネが支出されたのは確かであり、それを仮払金に計上するか、検察の言う通り貸付金にするかは損益には影響を与えない。資産としての評価についてきちんと注記もつけている。大体、訴えられているのはコンサルティングを担当した公認会計士であり、監査担当した公認会計士ではなく、完全に筋違い。検察側に会計処理に関する理解が浅く、言いがかりのような起訴」

 という信じられない裁判が行われています。

 1審が執行猶予付有罪。

 2審では被告に不利な調書を作った他の被告を証人として呼び、「検察の圧力で調書を作った」「真実は違うと改めて証言させる」ことまで行い、謀議があったという日付のアリバイを立証し…しかし、判決は控訴棄却。

 ???

 会計と司法の取り合わせということもあり、私自身は興味深く読みました。

 検察といわれて次に思い出すのが、


田中 森一 / 幻冬舎(2007/06)
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 この本の著者である田中森一氏はご自身が検察出身、ということもあり、前半は検察内部のことを細かく書かれています。

 この本では逆に、「悪人を追い詰めたが上層部の判断で起訴を見送る」というパターンがいくつか取り上げられます。

 そして、罪を作り上げる手口はこの本にも。

 細野氏のケースでも使われた検察の手口がここでも詳細に語られます。

 鈴木宗男氏とセットで起訴された佐藤氏…「きっとコイツは悪いやつに違いない」という世論があったのは確かです。

 佐藤氏もこの本で語ります。「要するに国策で罪人が作られる」、と。


種村 大基 / 講談社(2007/09/26)
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 で、監査法人の方にもどりまして、監査法人はどうなっているのか、というドキュメンタリーがこの本です。

 まだ前半しか読んでませんが、予想以上のドロドロがあります。

 今日のテーマ、「検察が罪を作り上げる」という部分でいうと、中央青山監査法人がカネボウの粉飾決算に関わったケースで実情を知らされていなかったはずの公認会計士があっさりと「粉飾に加担」という調書を取られ、監査法人上層部が愕然とする場面が描かれています。

 長くなって済みません。

 でも本当に考えさせられます。

 「法の正義とは?」

 「自分が何かの罪名をつけられて起訴されたら?」と。


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 筆者山崎誠の経営する事業再生専門コンサルティング会社
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