金曜日、23日のCRC全国総会で吉野家ホールディングスの安部社長のお話を聴くことができました。

 個人的に企業としても牛丼も大好きなこともあり、私は吉野家ファンです。

 前回、10月に「吉野屋!」の記事でも書きましたが、吉野家は一度1980年に会社更生法を申請し破たんを経験しています。

 その時、安部氏は取締役開発本部長。

 この時の破たんの原因はムリな出店でしたので採算の合った出店を積み重ねれば収支は合ってくる、という見込みはありました。

 その建て直しの実務上の責任者という立場に立たされたわけです。

 会社更生法申し立て後、新たな出店を、となったとき、あまりに慎重に話を進めるので管材人となった弁護士から、

 「いい加減に決めなさいよ」と言われたといいます。(通常は管財人は再建をあせる経営陣の暴走を止める立場)

 講話の中でも、「更正法を申し立てて初めて出店基準や全店統一の管理基準などが整備され、会社らしい会社になった」とお話されていました。


安部 修仁, 伊藤 元重 / 日本経済新聞社(2002/01)
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 ↑その辺のお話はこの本の中に出てきます。

 そして2003年暮れに襲ったアメリカでのBSE騒動と牛肉の輸入禁止措置。

 安部氏がすぐに打ち出したのは旧吉野家からの決別でした。

 280円牛丼の大ヒットもあり吉野家の必勝パターンが出来上がった矢先、その最強の商品が出せない。

 安部氏のとった手だては、

 「とにかく1980年のような内部崩壊型の破たんを避ける」

 「今までの成功パターン、必勝パターンは捨て、これからの時期を創業として捕らえなおす」

 ということでした。

 それまでデータベースに精緻な分析を加え仮説を立てて全社一丸となって突き進む、という企業カルチャーを突き崩し、

 「朝令暮改」をはじめたとのこと。

 FC店のオーナーには、「これから3ヶ月、指示や商品構成がころころ変わると思うがどうか腹を立てないでくれ」

 会社の幹部には「決めたことを変えないというカルチャーを変える」と説明し、新商品開発の試行錯誤を繰り返しました。

 その辺の事情はこの本に↓


戸田 顕司 / 日経BP社(2007/03)
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 長時間のCRCセミナーに最初から参加して内容を聞いておられた安部社長でしたが、

 「本日はいろいろとお話を聴けて本当に勉強になりました」とおっしゃって締めの言葉にされていたのが印象的でした。

 宴会のとき、同行されていた吉野家ホールディングスの社長室長の方に、

 「私が会計事務所に勤務していたとき、どれだけ280円牛丼に助けられたかわかりません。北海道では年末調整から確定申告までの繁忙期が真冬にぶつかりますからそのお値段で手早く暖かい食事ができたことは本当にありがたかったです」とお礼を申し上げました。(「そういっていただけるとわれわれ、本当にうれしいんですよ」とニコニコされていました!)

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