「患者は、医療とは完全なもので、検査によって全ての病気を発見でき、
中には不治の病も存在するが、多くの病気は治療をすればたちどころに治る、
と考えている。
医療行為にはリスクがあってはならず、安全が保証されなければならない。
医療を提供する側は、何よりも患者の要求を優先的に考えなければならない。
それが患者本位の本来の医療というものである、と考えている。」
「一方で、医師は、医療とは常にリスクを伴うものであり、限界があると考えている。
また、患者が想定している限界との間には、大きなギャップがあると感じている。
同質の医療を行ったとしても、患者の体質、生活環境等によって結果は大きく
異なる、
つまり、医療行為とは常に不確かなものだ、と感じている。
常に患者に最善を尽くすべきであるし、現に最善を尽くしているが、たとえ適切
な医療行為を行ったとしても、完治する患者はごく一部だと思っている。
そして、安全な医療行為というものも有り得ず、
逆に、手術など多くの医療行為は結果的に患者に害を与えてしまうことが少
なくない、と認識している。」
患者は、
「人はいつか必ず死ぬ。原因が分からないこともある。
そして、医師があらゆる手を尽くしても、なす術がないこともある。」
という事態を想像できない。
たとえそれを頭では分かっていたとしても、実感として考えることが
出来ない。
つづく
