予定通り、7月30日の土曜日に自宅に戻った。


夫はフットサルに出かける、と言っていなかった。
夕ごはんまでには帰るから一緒に食べようと言われていた。

伊井さんと出かけたのか、本当にフットサルなのかは、この際もうどうでもよかった。

不在なのは、ありがたい。






自宅に戻って、すぐにしたのはお風呂場の排水口から髪の毛を採取した。
ゾッとするほどの長い髪の毛が何十本もあった。

それを割り箸で取り出してジップロックに入れる。





クロエの香りが、まだまだ充満している夫婦の寝室に入る。

ベッドのゴミ箱は空になっていた。

ゴム手袋をはめて、キッチン脇に縛られているゴミ袋を開封して漁る。

コンビニの袋に入れられた、おびただしい量の使用済みのティッシュ。

そっと広げて、匂いを嗅ぐ。
間違いない。

これも、そっとジップロックに入れた。




次にしたのは、クール宅急便の手配。




実家にいる間、悶々としながらも考えていた。

言い逃れできない証拠。

DNA鑑定。





このティッシュから
精液判定・男のDNA型・女のDNA型を調べることができるらしい。





もともと我が家にはコンドームが無い。

使用済みのコンドームも、コンドームの殻も無いことを考えると、使ってないのは明白だ。

だって、こんなに痕跡を堂々と残して捨ててるぐらいだから。




流産してからは、さすがに入れるのは最初は夫もためらっていたけどキスは毎晩していたし、それ以上のスキンシップもあった。
ゴールデンウィーク辺りからは、夫に求められれば応えてたし、私からもキスをねだったりしてた。

きっと、伊井さんに女性として負けたくなかったんだと思う。


二人とも謎のスイッチが入って、一晩中お互いに求め合って、明るくなるまで何回もした日もあった。






だけど。


実家に行く前の週からは、私が生理だった。

だから、生理だった7月19日から少なくとも7月30日の今日までは、絶対にしていないのだ。


もちろん、実家に行く直前に家の中のゴミは全て捨ててるから。






ここにあるのは、夫と伊井さんの…ということである。


一人で処理した!と言うのなら、女性のDNAは出てこないはずだから。



感情を無にして、淡々とDNA鑑定の手続きであるクール宅急便を送った。