世界王者五十嵐vsプロ1戦井上 ”新鋭賞” | BOXING MASTER first 2006-2023

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輪島功一選手の試合に感動、16歳でプロボクサーを志し、ボクシング一筋45年。ボクシングマスター金元孝男が、最新情報から想い出の名勝負、名選手の軌跡、業界の歴史を伝える。

2012年度のボクシング年間表彰選手が発表された。”男子プロボクシング”部門の表彰選手は以下の通り。世界王者が8人もいるだけに、振り分けが難しかったようです。(敬称略)


最優秀選手   井岡一翔(井岡)
技能賞      山中慎介(帝拳)
殊勲賞      内山高志(ワタナベ)
敢闘賞      佐藤洋太(協栄)
努力賞      河野公平(ワタナベ)
KO賞       山中慎介(帝拳)
新鋭賞      五十嵐俊幸(帝拳)、井上尚弥(大橋)
特別功労賞    西岡利晃氏(帝拳=引退)
特別賞      故・内田正一(元日本ボクシングコミッション・レフェリー)、清水智信(金子=引退) 
年間最高試合 WBC・WBA世界ミニマム級王座統一戦 井岡一翔(井岡)vs八重樫東(大橋)戦
          (6月20日、大阪・ボディメーカーコロシアム)


新鋭賞に選ばれた五十嵐選手は、04年アテネ五輪代表を経て、06年プロデビュー。6年の歳月をかけて昨年7月、念願の世界タイトルを獲得。11月には初防衛を果たした。年間表彰に選ばれたのは初めて。


BOXING MASTER/ボクシング マスター

井上尚弥選手。


昨年10月プロデビューの井上選手は、OPBFミニマム級7位クリソン・オマヤオ(比)を4回KOした試合が認められた形。というよりも、その将来性を高く買われて、いや、大いなる期待を込めての選出であろう。とはいえ、プロ1試合のみでの受賞は驚きだ。


しかし、井上選手は素晴らしい逸材。将来、日本ボクシング界を背負っていく選手になる可能性を持っているのは間違いない。本当に期待は大きい。


1964年の東京オリンピック、バンタム級で金メダルを獲得。アマ戦績138勝(45KO・RSC)13敗を引っさげて三迫ジム入りした桜井孝雄選手は、65年6月、日本Sバンタム級6位アトム畑井(東邦)選手を6回判定に破り初陣を飾る。2戦目からは10回戦を戦い、この年、5勝(1KO)を上げ新鋭賞受賞。


桜井孝雄選手。


小学生から野口ジムでベビーボクシングをはじめ、東京オリンピック代表選手から68年プロ入りした高山将孝(P堀口)選手は、4勝(1KO)1敗で68年度の新鋭賞に選ばれた。


唯一の敗北は、世界ランク入りを狙った世界ライト級7位ドン・ジョンソン(米)との試合で、5回に2度のダウンを奪うなどリードしながら、7回偶然のバッティングで左目上を負傷。続行不可能とされた高山選手は、当時のルールでTKO負け。悔し涙にくれたが、試合内容が認められての受賞だった。


翌1969年の新鋭賞受賞者は、カシアス内藤(船橋→金子)選手。68年11月のデビューから、69年末まで12戦全勝(6KO)。世界王者フレディ・リトル(米)への挑戦に敗れたばかりの、 南 久雄(中外)選手に勝った星が光る(69年12月)。


1970年は韓国で東洋ライト級王座を奪取した、デビュー3年目の門田新一(三迫)選手が新鋭賞に選ばれた。そして71年は岡部 進 (石川)選手。大器と期待された”ポパイ”は、2年のキャリアで18連勝(11KO)無敗。



岡部 進 選手。


翌72年、20連勝で東洋Sフェザー級王座を獲得するも、米国帰りのアポロ嘉男(親和)選手に不覚を取ってからはすっかりモロくなり、通算30勝(15KO)17敗1分の戦歴を残しリングを去る。


大場政夫(帝拳)選手が最優秀選手に選ばれた1972年は、殊勲賞、敢闘賞、新鋭賞の受賞者なし。岡部選手を2回KOしたアポロ選手は、技能賞受賞。


1973年。つまらないカードの粗製乱造が原因で、世界タイトルマッチ以外はテレビ放映が打ち切られていた。


そんな中、ミュンヘン五輪代表のロイヤル小林選手が国際ジムからA級8回戦でプロデビュー。「3年間、私に預けて下さい。必ず世界チャンピオンにして見せます」と、小林選手の両親に約束した高橋美徳会長は、”フォアマン方式”で小林選手を育てた。73年は7戦全勝(6KO)。


しかし、この年の新鋭賞を受賞したのは、ロサンゼルスでプロデビューを果たしたフリッパー上原(協栄)選手。ハワイでデビューした実兄・康恒選手を抑えての受賞だった。小林選手はKO賞に選ばれている。



フリッパー(左)、康恒の上原兄弟。


オリンピック・オーデトリアムで4戦全勝(2KO)の星をあげ、帰国した時は日本フェザー級6位の肩書き。74年は勢いに乗って、ヒューゴ・バラサ(コロンビア)、サミー・ゴス(米)、リゴベルト・リアスコ(パナマ)と、世界入りを狙っての戦いに挑んだが2敗1分。しかし、次の牛若丸原田(笹崎)戦で、日本フェザー級王座を獲得した。


73年は全日本新人王を獲得した同士が、次の試合でぶつかるという今では考えられないカードも実現している。全日本フェザー級新人王大橋満雄(帝拳)選手と、Sフェザー級の覇者ゴールド 城 (野口)選手の対戦は、大橋選手が5回KO勝ち。



大橋vs城。


だが、その大橋選手もスターダムにのし上がるために組まれた、次の岡部 進 戦(2連続KO負け中)で初回KO負け。その勢いは、一気に失せてしまった。


さて、井上選手。皆様のコメントにもあるように、第3戦のマッチメークは大いに注目される。


果たしてどんな相手が選ばれるのか。大橋会長の手腕に期待!


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