帰国・試合報告!坂田VSバスケス | BOXING MASTER first 2006-2023

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輪島功一選手の試合に感動、16歳でプロボクサーを志し、ボクシング一筋45年。ボクシングマスター金元孝男が、最新情報から想い出の名勝負、名選手の軌跡、業界の歴史を伝える。

本日夕、無事に帰ってきました。坂田選手も元気です。試合の模様はTBSで放映されたようで良かったです。

坂田健史(協栄)選手はパリ到着時後も好調をキープ。減量も「こんなに順調なのは始めて」というくらいの「最高のコンデション」でした。計量も楽々パス。

しかしバスケスは定刻ギリギリで姿を表したかと思うと、トレーナーがオレンジ・ジュースとバスタオルを持って付き添う。舞台上の秤に乗るバスケス、トレーナーはいきなりタオルを広げ出す。



 

「どけ」の声にもお構いなく、最前列で金平会長が目を効かす。ほんとにギリギリ、パンツ脱ぐ寸前でバスケスは計量パス。秤から降りるや否や、いきなりオレンジ・ジュースを飲み干した。

計量後は金平会長のはからいで、日本から応援に来たジム練習生、選手達も招かれ、一緒にビストロ・”スマップ”(~~)でゆっくりと食事を取り決戦に備えました。「そうか、日の丸持って来たか。いいぞ」(~~)



 

2日午後4時、試合会場へは出場選手、役員ら一同全てが大型バスで一緒に移動。バスケス陣営はいなかった。45分程でベルシー総合体育館に到着。「いい会場だ」

めちゃくちゃ試合が多い。12回戦が5組、女子の10回戦1組。6回戦2組、4回戦3組。TVは8時55分からの2時間枠。人気者アスロムの試合は生中継される。坂田選手の試合はこの試合のすぐ後だが、試合開始時間は遅い。

この日試合を終えバスで一同がホテルへ帰り着いたのは午前2時少し前、「試合開始もっと早くすればいいのに」(~~)

アスロムは3回で試合をかたずけた。相手のふがいなさにブーイングが起こったらしい。正直、アスロムのこの日の対戦相手ロサノを見かけた時は、「プレスのおじさん」かなと思ってしまった。(~~)

リング入場時アスロムとすれ違う。坂田選手にエールを送って来たアスロム。この後の激闘をどう思った事か。



 

この日の使用グローブは”adidas”社製8オンス(下)。写真のようにメキシコ製(上)と比べても一回り小さい。まるでパンチング・グローブのよう。カッコ良くて流行りそうですね。

ルール・ミーティングでそのグローブを手にした大竹マネジャー、「いいグローブだ。これはボコれるよ」SAKATA・NO.1、NO.2と二組のグローブにサインをして役員に手渡す。



 

青コーナーから登場のバスケス。リング上、坂田選手にパナマ国旗をプレゼント。両国国家吹奏が終わり、いよいよ試合開始。赤コーナー下には金平会長が陣取る。

赤コーナーは大竹マネジャー、ヒルマ先生と私の3人。バスケス、思った通り振り回してくる。1、2回とややバスケス・ペースだが有効打は無い。

3回、足を使い出した坂田選手。出入りを忙しくした回転の速いコンビネーションがバスケスを捕らえる。完全に坂田選手のラウンド。

ペースに乗りかけた5回。バスケスの右足と坂田選手の左足が引っかかりバランスを崩したところに、バスケスの手が伸びていた。完全に足が絡み合ってのものだが、主審はカウントを取る。ジャッジへの確認は無かった。ダメージ、全く無し。

「あわてるな、あんなのダウンじゃないよ。取り返せる」6回からエンジンがかかった坂田選手、スピードと手数でバスケスをコントロール。ポイント連取。手を出し続ける坂田選手、バスケスは明らかに腹を嫌がってる様子。

9回坂田選手にアクシデントが襲う。右目上から激しい出血。主審はバッティングのコール。そして赤コーナー横のオフィシャルに向い人差し指を一本立てた。負傷していないバスケスから1点減点の指示のように取れたが・・・。

この回坂田選手の出血を見て、強引にバスケスが出てきた。

「今までと同じでいいよ。距離とって、体起こさない」「ラスト3回、全部とって来い」

いよいよ試合はラスト3回。バスケスは疲労困憊している。「坂田、今何周だ」「まだ1周ちょっとです」「それなら大丈夫。(~~)全部出して来い」

さあ、10回が始まった。 -明日へ続 く-