亀田世界初挑戦・協栄ジムの歴史12 | BOXING MASTER first 2006-2023

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輪島功一選手の試合に感動、16歳でプロボクサーを志し、ボクシング一筋45年。ボクシングマスター金元孝男が、最新情報から想い出の名勝負、名選手の軌跡、業界の歴史を伝える。

読売新聞によると、亀田興毅(協栄)選手の世界戦が8月2日横浜アリーナで行われることに内定と出ています。WBA世界L・フライ級王座決定戦で、ベネズエラの元ミニマム級暫定王者ファン・ランダエダと対戦。

亀田選手は、1階級落として初の世界戦。プレッシャーはあるでしょうが、ハートは飛び切り鍛えられていますから、問題無。ウエートさえ普通に落ちるなら、ノー・プロブレム。サウスポー相手ですから、ジャブを使ったボクシングで強打者を迎え打つ事になるでしょう。

一方のランダエダは、階級を上げての試合。04年10月、新井田 豊 (横浜光)選手との、タイトルマッチでは1-2の1ポイント差、際どい判定負け。サウスポーの強打者です。戦績、24戦20勝(16KO)3敗1分。新井田戦後4連勝中。但し、今年は試合した記録がありません。

新井田選手との試合は国技館で見ましたが、「そんなに悪い選手ではないよ」というのが正直な印象です。

ランダエダは足は使えません。亀田選手とは真っ向から左強打対j決になりますね。L・フライ級では、破格のKO率を誇る選手同士の対戦、これはKO決着必死でしょう。見て面白いカードだと思います。

前座カードも充実の豪華版になるようです。日本ランカー多数出場予定。大毅選手は出場するのかどうかわかりませんが、平日の横浜アリーナ、大観衆で埋まる事でしょう。好試合が期待出来ます。

WBA世界L・フライ級王座は協栄ジムにとっても縁のあるタイトルです。具志堅用高選手、渡嘉敷勝男選手の二人がこのタイトルの王者として活躍しました。

具志堅選手、アマ高校王者からプロ入りし最初はフライ級で戦っていましたが、体で押されあまりパッとしませんでした。が、L・フライ級が世界に新設されるといち早く転向。7戦目でWBC3位にランクされるシーザー・ゴメス・キー(米)14戦無敗12KO勝ちとの勝負の一戦に挑み、見事7回KO勝ち。

前哨戦1試合をはさみ挑戦した王者が時のWBA世界L・フライ級王者ファン・グスマン(ドミニカ)。21勝(15KO)1敗のハードパンチャー。予想は、もちろん不利でしたが、素晴らしい7回KO勝ち。以後、13度の防衛をする名王者になります。

渡嘉敷選手は、素人から3年で世界王者へ上り詰めます。全日本新人王獲得後、日韓新人王対抗戦で初の黒星。試合後、名古屋から帰ってきた”トカちゃん”朝まで歌いまくって気分転換。気持の切り替えが素早いのがいい所でした。写真は、名コンビの福田トレーナー(F・Iジム会長)とハワイキャンプで。

デビューから2年半、11勝(1KO)1敗1分で挑んだ勝負の試合が、先輩具志堅選手の世界タイトルにも挑戦し、大いに健闘した実績のある世界2位金 龍鉉(OPBF王者)戦。この試合、まだスタミナのなかった渡嘉敷選手でしたが際どく判定勝ち。

そして、入門後僅か3年半後の81年12月世界タイトル初挑戦。予想全く不利での挑戦で、WBA世界L・フライ級王者金 煥珍に判定勝ちで世界タイトル獲得。先輩具志堅選手が保持していた世界王座が僅か9ヶ月で協栄ジムへ戻ってきました。

何れも、世界タイトル挑戦に繋がる為の”勝負の試合”を見事にクリアして世界王者へと上り詰めた点。どんな環境でも練習以上の力を試合で発揮できる”強いハート”。素直さ。遊んでも(^^)絶対に走る。共通した所がありますね。

亀田選手も協栄ジム移籍後すぐに、OPBFタイトル挑戦という”勝負の試合”を見事クリアした事で、一気に世界が見えてきました。ランキングとはそういうものです。この試合を組めた事が一つの勝利であり、「地位が人を変える」の言葉通り、亀田選手もより一層強くなりました。

誤解される向きの方もいらっしゃいますが、「強い者が勝つんじゃなくて、勝った奴が強いんだ」。ボクシングの歴史はこの繰り返しではないでしょうか。もちろん普段からから努力、節制していなければ”勝った奴”にはなれませんが。

失敗、勝てなかった例もありますが、協栄ジムでは昔から意欲ある選手には”勝負の試合”をマッチメークしています。時々の情報、情勢を分析する能力、ルート、人間関係、交渉力がなければ出来ない事です。

さて、歴史に戻ると上原康恒選手も”勝負の試合”を見事にクリア、世界タイトル挑戦の舞台が用意されました。それも想い出のデビューの地ハワイで、僅か2年弱11戦のプロキャリアで・・・。

続く・・・。