4年前、私は岐阜で高校生の男子寮の担任を

していました。


当時の寮長は学業も頑張ってくれて、大阪大学

の工学部に現役合格。


彼は問題児の多かった寮をまとめるのに苦労して

いましたので、私とも何度も話し合いを重ねた仲です。


うちの子供たちも、よちよち歩きのころからよく

遊んでもらいました。


その後、彼は設計士を目指して勉強を続けています。


昨年、私が大阪に駿台予備校の研修に行ったとき、

彼と連絡を取って一度飲みました。


今週になって、彼から突然連絡があり、


「上京するので先生とまたお会いできませんか?」


とのことでした。


昨日、彼と、同じ寮にいた他の元生徒と、3人で

飲みました。


今回彼が上京した理由は、東京大学の大学院を

受験するためでした。


長引く不況の中で、教え子たちにたまに会っても

こちらから就職のことを聞いたりするのは何となく

躊躇してしまいます。


しかし、そんな中でもしっかり彼は前を見据えて

進んでいました。 東大を受けるくらいの生徒になった

ことよりも、しっかりした自分を持てるようになった

彼の成長を嬉しく思いました。


ふと、「どうしてわざわざ、関東にくるにあたって

俺に声をかけてくれたのか?」 と聞いてみました。


「先生が俺たちのことを一番長い時間見ていてくれたからです」


というのが彼の答えでした。


もう一人の生徒は、医学部を目指して四浪中なのですが、


「先生と言うお仕事は素晴らしいですね! 予備校の講師は

 合格させたらそれで終わりですけど、高校の先生はその後の

 生徒の人生までずっと見守ることができますからね。」


なんていう、教師という仕事の核心をつくようなありがたい

コメントをくれました。


若さに任せて厳しくあたったり、正直後ろ向きな気持ちにで

仕事をしていた時期もありましたが、


「学校のなかで一番生徒のことをよく見てあげられる教師になろう」


と思って仕事をしていたことが、少しは生徒に伝わっていたのかな、

と思うと、言葉にならない、なんともいえない嬉しさがありました。


「東大大学院に合格した暁には、うちで祝杯をあげよう」

「三重の実家をリフォームするときには、設計を任せるから」

という約束をして、彼らを見送りました。


一日一日真剣勝負。


そのこの言葉の意味を、卒業生に合うたびに実感させられます。