ボールをストライクゾーンに投げる。

さらには、思い通りのコースに投げる。


この作業は、思っている以上に精密な
作業です。


以前は、ピッチャーにとって大切なことは
筋力や肩の強さ、スピード、スタミナなど
一般的に必要とされる要素だと思って
いました。


ここ1年で色々と勉強しているうちに、
筋力やボールのスピードを生かす要素の
方が、ピッチャーにとって大事ではないかと
思うようになりました。

具体的に言うと、

「バランス」

「調整力」


です。


楽天球団ができたときからずっと注目している
選手がいます。


それは、一場投手

素質は一級品。 誰もが岩隈とマー君に
続く先発に、と期待し続けている選手です。

巨人の高橋由選手は、ルーキー一場と
オープン戦で対戦して、そのストレートを

「バズーカみたいだった」

と形容していました。

折角そのような素質を持っていながら、
彼の投球は突如として乱れることが
多いのです。

私が見に行った試合では2度先発して
いますが、2度とも5回、6回で大きく
乱れてKOされています。

2試合に限って一場投手のフォームを見て、
感じたことがバランスと調整力の大切さでした。

一場投手は上半身と下半身のバランスが悪そうに
みえること。 そして自分の体を思い通りにコントロ
ールする調整力に欠けていること。

少し疲れがくると、極端にリリースポイントが乱れる
印象でした。 まさに調整力でしょう。


そんな彼に、今年から楽天に来てくれた名伯楽・
佐藤義則投手コーチのメスが入っています。


臥薪嘗胆(がしんしょうたん)


キャンプでは、写真のようにバランスと調整力を
徹底的に鍛える一場選手。 

そして、ブルペンでも一からフォームを作り直し、
安定した下半身主導のフォームを指導する
佐藤コーチの姿がありました。


中学生にとっても、ピッチャーは冬のトレーニング
で、力系、瞬発系、スタミナ系を鍛えてそれでよし、
ということにはならないと思います。

力がついたり、スピードが上がったりすれば、
自分の体に新しい感覚が生まれるわけです。
それを上手く制御できるバランス感覚と、体を
調整する力を同時に鍛えてあげないといけない。

もう少し早くそれに気づいていれば、冬明けに
制球を乱すピッチャーが何人かいたケースに
対応できたかな、と思うと残念な気持ちです。

ピッチャーだけでなく打者にもいえることだと
思いますが、力やスピードを上げるトレーニングと
並行して、バランスと調整力をやる必要がある。

地味な練習ですが、軽視してはいけないと思います。

蛇足ですが、私の父(37年前のプロテスト合格経験者)
が言うには、

「ランニングは体のバランスを整える上で最高の練習」

だそうです。 

ただスタミナと精神を鍛えるだけではない。

奥が深いですね!